「ソフト料金20万US$及び米法賠償金等をあわせ、合計100万US$の支払いを求めます」。   強面の越捜査役人を伴い、突如来社した米籍Y社担当者に詰め寄られた日系製造業X社。実はこの半年前、X社従業員Aは社内の自分用PCにY社ソフト試用版をダウンロードし、海賊版ソフトで購入版へアップグレード。そのままAは半年間、同ソフトを使い続けました。   本件はソフト内容(業務関連性)、同試用版頒布状況、海賊版性能、社内従業員用PC管理、従業員監督・教育、事後交渉、事後的証明可能な関連証拠など以外に、法的論点も複雑に絡みます。ただ決定打となったのは、話し合い等の度に作られた議事録。1度署名・押印した文書の「意思」の事後否定は、まず不可能です。判例集積が無く、法解釈研究もほぼないベトナムでは、紛争で生じた法的論点の対立結果が想定不可能なことが多く、結果、一応論理的な繋がりを持つ「文書」の役割が極めて絶大です。   今回の話は知財・労務・賠償論をはじめ、論点が満載ですが、得るべく教訓は「署名・押印の危険性」に尽きます。度胸さえあれば、(専門家への相談前は)如何なる事態でも議事録を含む書面等への署名押印を断固拒否できるはず。心構えとして、この国には法律に全く馴染みがないか、逆手に取る人しかいないことを忘れてはなりません。
野口 真吾 のぐち しんご 慶応義塾大学卒、第二東京弁護士会、渥美坂井法律事務所所属。2012年に韓国系最大手・JPに参画、越内の執務開始。翌年3月より、ヴァン弁護士(元計画投資省、夫は司法大臣)所長のAPACへ出向。
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