ベトナムの日本人/真鍋昌之さん/サーフショップオーナー

開拓の余地が多いベトナムの海を世界に誇れるものに。 サーフィンを通じて、その魅力を発信していきたい

Manabe_0020写真/大池直人
こんがり焼けた肌が健康的な真鍋昌之さん。「サーフカルチャーをベトナムに広めたい」一心で、2年越しでダナンにサーフショップを開店した。 「サーファーに共通する姿勢は、自然を敬い、そして大切にすること。だから、ベトナムのキレイな海で、その美しさを保たなければいけないと思っています。ベトナムはサーフィンの文化がまだ広がっていないからこそ、サーフィンを通じて、環境保護に取り組めたら世界にも誇れるはず」。   丸8年ベトナムに住む真鍋さんは湘南出身。幼いころから身近に海とサーフィンがあった。17歳より本格的にサーフィンを始め、大学ではサーフィン部に所属。試合で勝つために日々練習していたという。だが、在学中にシドニーでウェットスーツ製造会社に修業した折、現地で年配のオーストラリア人男性がサーフィンを楽しむ姿を見て、考えが一変したという。 「競技志向で一生懸命練習して、結果を残すことばかり考えていた自分には、あのおじさんの姿は衝撃的でした。ものすごく楽しそうだったし、年齢を重ねても楽しめるのが“サーフィンの本当の魅力”なんだと目が覚めた気分でした」。   その日から、旅行をしながらサーフィンを楽しむ「トリップサーファー」に気持ちが切り替わり、以後、アメリカ、モルディブ、ニュージーランド、インドネシア、スリランカ、フィジー、プエルトリコ、バルバドスなどを回った。世界の海を見てきた真鍋さんから見て、「ベトナムの海はどうなのか?」を尋ねてみたところ、 「ベトナムの海は決していい波ではない。でも、手つかずなところが多く、開拓の余地がある。アドベンチャー気分になれるし、旅人魂をくすぐられる」。   おすすめのスポットは、ビンディン(Binh Dinh)クイニョン(Quy Nhon)とクアンガイ(Quang Ngai)省ズンクワット(Dung Quat)。そして、彼自身まだ行けていない憧れの地は、ドイツ人が名付けた「ドラゴンヘッド」という岬だという。クイニョンの近くあり、12~2月の3ヶ月間しか出現しないそうだ。 「地方へ行けばいくほど楽しいけれど、地方でサーフィンをしようとすると、公安に注意されることがよくあります。海は国のもので規制が多いから仕方がありません。マリンレジャーには障壁があるけれど、きちんとルールを決めればいいこと」。   ショップは情報の発信地としても、今後展開していくという。 「サーフィン文化を育てていくためにも、大人だけでなく、未来ある子どもたちにも伝えていかなければならない」。   日本からプロサーファーを呼び、ベトナム人向けサーフィンスクールを始めるほか、コンテストも開催したいと真鍋さんは夢を語ってくれた。 「サーフィンは取っつきにくいスポーツではないけれど、そこを覆したい。ベトナムの子どもたちがサーフィンをするようになり、いつかベトナム代表の選手が出たら、これほど嬉しいことはないですね」。
真鍋 昌之 まなべ まさゆき 1967年生まれ。神奈川県藤沢市出身。鉄鋼メーカーの駐在員として、タイ、インドネシアを回り、2005年8月にベトナムへ。2007年に帰任し、2008年にカメラメーカーへ転職。再度、来越。2012年退職し、サーフ事業の準備開始。2014年5月、サーフショップ「グリッターズダナン/Glitters Danang」(02-04 An Thuong 1 St., Ngu Hanh Son Dist., Da Nang)をオープン
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