#06 Duong Hùng Vương／フンヴォン通り

ベトナム全国の通りには、歴史上の出来事や重要人物の名前などがつけられている。よく耳にする通り名の意味や由来について紹介 ベトナム史上初の国家の伝説 国家と民族の基礎を築いた歴代王 フン・ヴオン（Hung Vuong／雄王）は、ベトナム史上初の国家の伝説、ヴァンラン（Van Lang／文郎）国の歴代王、すなわちベトナム最初の王の称号だ。 　 15世紀編纂の『大越史記全書』によれば、ホンバン（Hong Bang／鴻龐）時代のベトナム北部で、キン・ズオン・ヴオン（Kinh Duong Vuong／涇陽王）の子、ラック・ロン・クアン（Lac Long Quan／駱龍君）とアウ・コー（Au Co／嫗姬）の間に男子100人が生まれた。2人は別れるが、長男が雄王として文郎国を建国。子孫も雄王と称し、紀元前258年アン・ズオン・ヴオン（An Duong Vuong／安陽王）に滅ぼされるまでの2622年間、18代続いたという。ただ推定在位期間も最短80年～最長339年、国家の痕跡を示す遺構も未発見で、文郎国は伝説と言われている。 　 2007年から雄王命日（旧暦3月10日、新暦4月頃）も祝日となった。毎年、文郎国の中心、フート（Phu Tho）省の雄王殿で記念祭が催される。また雄王に関わる祭や民謡3つがユネスコ無形文化遺産に登録されている。 現在のホーチミン市の通りをみると、ラックロンクアンとアウコーが交わり、キンズオンヴオン、ホンバン、フンヴオン、アンズォンヴォンがつながっている。 石井 彩子 元ベトナム考古学徒。考古学とベトナム書道はライフワーク。日々はどローカルライフ。