29屋的越南恋愛コラム／自慢？余裕？自分の「秘密」を／友人に共有させたがる人たち／第27回

機会ＭＡＸ、コストＬＯＷ、欲望ストレート

人間、どんな極悪人でも、24時間、常に悪いことをしつづけながら生きているわけではないし、その反対に、どんな聖人君子でも、年がら年中完全無欠ではいられない。人の心は弱いものであり、自分自身でも思いもしなかった「迷い」や「逃げ」の気持ちが、思いもよらぬ結果を生むこともあるだろう。　日本にいるよりも確実にヒマで娯楽がなく、飲み歩き・遊び歩きの物価が安い。さらには日常生活や仕事のストレスに「はけ口」を率直に求めることが精神衛生上必要な、ここ南国ベトナムの生活。ふと恋に落ちた男女がお互い未婚同士ならば、何の問題もなくアベック（死語）誕生と相成る。　だが、ぶっちゃけ、相手が他人の恋人や伴侶と知っていながら猛烈にアプローチをしたり、もしくは自分に既に恋人が居たり独身ではなかったりするのに、短期または長期で「道ならぬ恋」を楽しもうとする浮気者どもが、東西日越老若男女問わず、存在しているのだという。 やりたきゃ、やれ。でも第三者に「共犯」を強いるべからず。 　別に、それはそれで、やりたきゃやればいいし、他人にバレても自己責任だとは思うのだが、事実はドラマよりも奇なり。よりにもよって、この狭い世間で、これ見よがしに逢引を重ねたりしていたら、そりゃ誰かには見られるし、人のウワサにも上るというもの。　にもかかわらず、当の本人たちは「嫁さん（または彼女）にバレたら困るんだよ～。頼む、内緒にして！」と、さも当然の如く第三者に「共犯関係」を強要してくる人が多い。　別に、こっちだって、わざわざ告げ口する趣味はないが、あまり良い気分はしない。本人との関係が濃い・薄いに係わりなく、人間の心が持つ一番「安っぽい」部分を、無理やりに預けられてしまう不快感が否めないからだ。でも、それって、「武士の情け」の様なモノ？　否！　汝、みだりに武士だのサムライだの口にするなかれ、である。 「人に疑わしむるは、節俠（せつきょう）に非ざるなり」 　中国の戦国時代、ある小国の王子が後に始皇帝となる秦王・政の暗殺計画を練る。実行を依頼された田光は自身の老齢を理由に断り、代わりに若き勇士を推薦するのだが、王子に「国家機密だから他言無用で」と釘を刺されたことにカチンと来る。　結果、こういい残し、自刎する。「有徳の士は人に疑いを抱かせない。そもそも人に疑われるようでは、私の義侠が欠けているのだ。王子に、田光は他言をせぬ証に死んだと伝えてくれ」。　家庭や生活を壊しかねないほどの秘密を持つなら、田光レベルにガッツな口の堅さを持つ友人がいればいい。そうでないなら、棘の道は、身の程相応の覚悟を持って歩むべし！　困るなら、やるな。やるなら、困るな。である。