男のローカルひとり飯／第19回フーティウ法

フーティウの名店は幾つかあるが、どれも高く、5万VND（約230 円）を超える店もざらに見かける。そんな中、路地裏に位置するこの店では、汁無し麺「フーティウホー」のスペシャルをお手軽に味わえる。フーティウホーを食べる際の鉄の掟は、七変化の段階的調味を全て楽しみ切ることだ。セオリー通り、まずはそのまま頂くと、中華ダレを彷彿とさせるやや洗練されたタレに絡んだバリ硬麺とニンニクチップやゴロゴロの挽肉が美味い。あらかじめ入っているセリも爽やかで、すでにこの状態で完成品。ノコギリソウとベトナムミントを追加すると、爽やかさが倍加し、今度は旨味が欲しくなったところに、油多めのこってりサテを投入。そこに引き締めのライムを投入すると、味わいが180度転換する。ここで気をつけないと、夢中になって麺を全て食べ尽くしてしまいかねないので、意識を別添えスープに移す。スープはクッキリハッキリ旨み系。次はネギとニラの刺激と共に、スープに入った大ぶりの柔らかなスネ肉を堪能する。そろそろ仕上げだ。複雑に味わいが絡まった麺に、味わいの変化を確認しながら少～しずつスープを入れていき、最後はすべて投入の上、味わいをまとめ切り、一気呵成で食べる。海老やうずらの卵をいつ食べるかの自由は、食べ手の裁量に委ねよう。しかし、混沌としたフーティウの味わいを全て解きほぐすことを望む方は、上記のような詳細なルールに全て従っていただかなければならない。これが世に言う「フーティウ法」なのだ。