29屋的越南恋愛コラム／「ベトナム男にとっての日本嫁は、／本当に“高嶺の花”なのか？という件について」／第12回

日男×越女に比べたら、越男×日女カップルは成立しにくい？

経済的な問題、また生活環境への順応能力の点からも、今も昔も当地での日越カップルは「日男×越女」という組合わせが大多数を占めている。片や、一昔前なら時折見かけた「越男×日女」のカップル成立は、いまやレアケース。昔からよくある「誠実貧乏越男×姐さん女房日女」なる定型のみならず、たとえ越男のほうに魅力と甲斐性と国際性があろうとも、彼女までならまだしも、結婚相手としては日本女性を選ばなくなっているようなのだ。果たして、市場価値暴落の原因は如何？

ネタバレ防止のため、伏字の中身はご想像にお任せします。

当地でもカクテルや夜のお店の名前になっている、有名なベトナムものミュージカル作品。ボクが初めてこの作品を観た時、役者の熱演や楽曲の美しさを差引いても、「え？　これって感動しなきゃいけないの？」と、聞いていた前評判と裏腹にガッカリした覚えがある。ところどころタイなど他の国の文化風俗とゴッチャになっている点や、ミュージカル特有の小っ恥ずかしい演出に目をつぶったとしても、金輪際納得できないのがラストシーン。戦乱で離れてしまった恋人の元米兵と再会する直前、ヒロインが●●してしまうのだが、苦難を生き延びたベトナム女性が「このタイミング」で選ぶ手段ではないように思えたのだ。それもそのはず。もともとこの作品の土台となっているのは、プッチーニのオペラ『蝶々夫人』という、「ロクデナシの米海軍士官に捨てられて●●する大和撫子のお話」であり、時代と民族が違う条件で無理やり置き換えたら、齟齬（そご）が出て当然だ。実際、ベトナム嫁をもらい、この街に住んで１０数年。その思いは変わらないどころか「普通は慰謝料もらうなり、ヌクマムぶっかけるなりするよな？」と、我身につまされて考えてしまうのだ。

「日本女性＝おしん」は「日本男性＝サムライ」級の過大評価じゃね？

夫に従順で辛抱強く、優しく賢く美しい。そんな日本女性のイメージを国際的に広げてしまった『蝶々夫人』や『おしん』。確かに彼女たちの持つ美徳は、どの日本女性の中にも個人差はあれど、他民族と比べれば相対的に存在するので、丸っきり嘘っぱちというわけでもない。しかし、現実の生活の生臭い苦労を、芸術というフィルターで除去した姿は、「現実には有り得ない」レベルの架空の生物でしかない。生身の日本嫁にそこまで期待するのは酷というものだ。さらに、コーヒー１杯、本１冊、里帰りの費用といった生活における金銭感覚の違いは、日本人が想像する以上に大きい。高嶺＆高値の花を、生涯世話し続けるガッツのあるベトナム男など、そう簡単に見つかるはずはないのだ。