29屋的越南恋愛コラム/「近頃、当地でよく成立している、/日×日カップルの未来について」/第07回

29屋的ベトナム恋愛コラム日本人社会のフトコロが深くなれば…

ひと昔前まで、あたかも工業高校の如き「男多女少」な比率の故に、日本人同士のカップルがなかなか誕生しにくかった、当地の日本人コミュニティ。 最近ではベトナムの経済発展に伴って、妙齢の大和撫子が単身渡越して暮らせる環境となり、男女の出会いのチャンスも激増。至るところでふつーに日本人同士のカップルが誕生しているご時世のようだ。 ただ、今までと違うのは、学生や企業駐在員など、いずれ日本に帰国するのを前提に交際しているカップルだけでなく、現地企業社員や自営業などでベトナムに根を下ろして仕事をする者同士が、結婚にまで至るケースも出てきていることだ。

南風の生まれる場所は、 約束の地に成り得るのか?

確かにここ数年、日本国内を覆う閉塞感はハンパじゃない。夢を追う若者が、南風を求めて国外に脱出し、人生を賭けてみる気になるのも当然といえば当然だ。 しかし、独り身であれば相当な窮乏に耐えられるとしても、所帯を持ち、将来子どもを持つことまで想定すると、話は違ってくる。祖国にいてこそ受けられる福祉や補助をアテにできない外地で、まがりなりにも日本人並みの生活水準を維持するには、相応のお金か工夫が必要だ。 一方、日越カップルにはある「ローカルネットワーク」という武器を使うには、いちいちお金か他人の思惑を通さねばならず、これも相当なハンデ&ストレスとなる。はたして当地は、日×日カップルにとって約束の地と成り得るのであろうか?

「朕が新儀は未来の先例なり」

『太平記』で後醍醐天皇が鎌倉幕府を打倒して独裁政治を布き、公卿たちから「前例がない」と反発を受けるが、「俺がやることは、未来で前例になるんだ!」と一喝する。 結果的にこの人、自分の利権最優先で行動して新たな争乱を招いたわけだから、誉められたものではない。しかし、誰も歩いたことがない道を切り拓いていくには、これぐらいの覇気と、世間体を気にしないだけのふてぶてしさが必要なのではないか? 古くはロスや、サンパウロ。最近ならバンコクやマニラが通った道を、今、歩み始めている当地。日本国内の日本人でもなく、ローカルの現地人でもない、まったく新しい生活スタイルを生み出す壮大な実験のド真ん中にいるのである。 この道がどこにつながるかは、誰にもわからない。和魂を忘れず、ホスト国には敬意を払いつつ、さわやかなガッツを胸に、日僑の歴史を作っていこうではないか!
29屋(にくや) 食材&弁当屋の店主。本業の傍ら、かつては「29屋に訊け!」など本誌人気コラムを担当。本コーナーでは、ベトナム恋愛模様をちょっぴり辛口、ときどき優しく(!?)、生あたたかい目で考察する。 http://blog.livedoor.jp/info29
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