第63回 妊婦の感染は危険!

メディカル君 メディカルトーク

症例 軽い発熱とともに、全身にかゆみを伴う発疹が2日ほど続き、来院した12歳の男児。血液検査の結果、風疹と診断された。対処療法による処方薬を服用し、現在、経過観察中。

今回のドクター Dr. ファン・チュー・チン(Phan Chu Trinh)医師/コロンビアアジア・サイゴンインターナショナルクリニック

①風疹とは?

「風疹」は、子どもから大人まで感染しうるウイルス性の疾患です。主な症状は発熱、発疹、リンパ節の腫れで、咳やくしゃみなどによる飛沫感染で伝染します。  世界保健機関(WHO)によると、2003年までに世界の57%の国々が、風疹の予防接種制度を導入するようになりました。しかし、ベトナムをはじめ広い地域で、依然として予防接種が義務付けられておらず、地方的流行が見られます。

②発症と診断方法

初期症状では、耳の後ろや首の周囲にあるリンパ節が腫れ、しばしば小さくブツブツとした発疹が顔に出て、すぐに全身に広がります。軽度の発熱や鼻かぜ、結膜炎を伴う場合があり、一般的には3~5日間でおさまります。熱が出ないケースもあり、初期では風疹にかかっているかは分かりにくいため、血液中の抗体検査を行うことで診断されます。  潜伏期間は14~21日間で、発疹が出る1週間前から、発疹出現後の1~5日間は、他の人にうつす可能性があります。

③妊娠初期の感染は危険

もっとも注意が必要なのは、妊娠中に風疹ウイルスに感染することです。妊婦が風疹にかかると、胎児に奇形を伴う感染(先天性風疹症候群)の恐れがあるからです。特に、妊娠初期における風疹感染は、30~50%の割合で先天性風疹症候群を引き起こすことがわかっており、新生児は、白内障や難聴、心奇形などを患うとされています。特に妊娠3ヶ月以内に感染すると、新生児の症状が重症化するケースも見られるので注意が必要です。

④予防接種がもっとも大切

特定の治療方法はありません。発熱、筋肉痛、関節痛など、諸症状に応じて対処療法がとられます。身体に風疹ウイルスの抗体をつけるため、予防接種が重要となりますが、風疹の予防接種後3ヶ月間は妊娠を避けてください。なお、妊娠中は、予防接種が受けられませんので注意してください
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