10月29日(日)/晴れのち霧
3143m
3.インドシナの屋根
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霧に見え隠れする頂 |
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頂上へと続く、竹のアーチ。ここまでくれば、頂上はもうすぐ |
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アタック、3000m越/標高2560m・気温9.3℃
7時起床。地面から伝わる冷気に、自然と目が覚める。今日は山に入って3日目。とうとう山頂へのアタックを試みる日だ。もぞもぞとテントから這い出ると、ひんやりとした空気の中、抜けるような青空が目に飛び込んできた。周囲の竹も朝日の中に煌めき、この旅一番の快晴が、旅のクライマックスを祝福してくれているかのようだ。
簡単に朝食をとり、いざ、頂上を目指す。「山頂までは2時間もあればつくよ」と、チュンさんも心なしか嬉しそうだ。再び2800m付近まで登り、省境にある尾根を越える。最後の登頂ルートは、ラオカイ省側から登るのだ。
1時間ほど歩いたところで、突然視界が開けた。山の尾根の緩やかな傾斜に、腰ほどの高さの一面の草原。山の風が草をそっとなでていく。「あれが山頂だよ」と、チュンさんは前を指さした。目をあげてみると、なんとその指のすぐ先、茂みの向こうに霧に包まれた山頂がそびえ立っていた。一瞬だった。こちら側は晴れているのに、山の斜面をはい上がるように、上へ上へと向かう霧が、山頂を覆うようにみるみる内に包んでいく。頂はまたすぐに見えなくなったが、目指す場所はすぐそこだ。生い茂る草の中にできた糸ほどの細道を、思わず足早で進んだ。
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