10月28日(土)/曇り
山道を10時間
2.ただひたすらに歩く
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湿り気を帯びた苔の間に、鮮やかなキノコが映える |
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木々の間、霧の晴れ間にのぞいたファンシーパンの頂。サパからは遙か遠く、小さく見えた頂上が、目の前にその姿をくっきりとあらわした(写真小)薪を拾い、火をおこし、料理を作り、暖かいお茶を飲む夜のひと時。同じキャンプでも、ダッチオーブンなど、現代の便利な器具を駆使するものとは、ひと味ちがう |
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朝食後、荷造り中のポーターたちを残し、一足先に山へ向かった。スタート直後からいきなりの急勾配。ファンシーパンの登山は、なだらかな斜面と急な坂道が交互にあるのが特徴で、この2日目は、その中でも特に急勾配が続く行程。しかし、少しずつ山道に馴れてきたのか、柔らかい土に足を取られることもない。周囲は相変わらずの、うっそうとした樹海。湿り気を帯びた空気が肌にまとわりついてくる。びっしりと苔に覆われた木々や岩、その中で色とりどりのキノコが薄暗い森に彩りを添えている。思い切り、深呼吸をしてみた。森中に満ちた、マイナスイオン。うまい空気が体内に染み込んでくるようだ。
数回の休憩を挟みながら、黙々と登っていく。標高2800mのところで尾根に出た。ここが、ラオカイ省とライチャウ省を隔てる所だ。あいにく霧に包まれていたが、晴れていれば東にサパ、西にライチャウの街を望めるという。周囲を見渡してみると、竹や松、樫などが増え、低地で見たジャングルのような面持ちとはまた違う植生になっている。緑の下草も影を潜め、まるで冬枯れのような木々がならぶ。ここから山道はライチャウ省へ向かう。 |