受け継がれ、そして花開く。
シェムリアップの街で育まれる宮廷舞踊。
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腕の微妙な角度の違いで、一つの動作でも、それがアプサラのポーズなのか、阿修羅のポーズなのか、意味が違ってくるという。稽古時は先生も生徒も真剣そのもの。「厳しく教えなければ、本当の舞踊は踊れない」と、ボラン先生は語る |
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1年を通して数多くの旅行者が集まるシェムリアップの街。王立舞踊団や王立芸術大学など、宮廷古典舞踊の本場はプノンペンにあるが、アンコールワットを擁するこの街でも、プノンペンからやってきた人々が、宮廷舞踊を伝承する姿を見ることができる。
クム・ボランさん(56歳)は、シェムリアップにあるワットボー寺院そばの稽古場で古典舞踊を教えている。プノンペン出身で、8歳頃から王宮の中で舞踊を学んできた彼女だが、内戦により舞踊を中断。18歳の頃にシェムリアップに移ってきたという。「1990年のことでした。知り合いとのふとした世間話から、学んできた舞踊の教室を開く機会を得たんです。舞踊を学んでいる生徒は田舎から出てきた人がほとんど。学生もいるし、両親が手に職を付けさせようと、子供を連れてくることもあります。」
現在、彼女の稽古場には約70人ほどの生徒が集まっているが、授業料はとらず、全てボランティア。今では生徒がグループを組み、ホテルやレストランで踊った収入で稽古場を維持しているが、当初は市場で商売をしながら教室を開いていたという。「もちろんお金も大事ですが、古典舞踊は私が学んできたことの全て。宮廷古典舞踊が世界遺産に認定され、世界中から注目を集めている今、私はカンボジア人として、カンボジアの踊りを伝えていきたいのです。」
■アートボランスクール [ART BORAN SCHOOL]
住所:House No.0376, In Front of Wat Bo, Siem Reap
電話:012-834204
※ボラン学校の生徒たちは、下は8歳から上は25歳くらいまで。練習は日曜の15:00〜17:00に行われている。生徒たちの実力はシェムリアップ市内でも有数。アメリカや日本へ招待され、踊りを披露したこともあるとか
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