<ハノイ旧市街訪問、古の街の職人たち>
ランオン通り
[PHO LAN ONG]
ランオン通りができたのは19世紀の末。開通当初は中国福建省出身の人々が多く住んでいたため、福建(Phuc Kien)通りと呼ばれていた。
しかし、1940年代の終わり頃から、博学で医学に通じるハイトゥォンランオン(Hai Thuong Lan Ong/本名:レーヒュウチャック Le Huu Trac)という著名な医者の名にちなんで、漢方薬屋が並ぶこの通りは、ランオン(Lan Ong)通りと呼ばれるようになった。
<漢方医>
東洋だけでなく、西洋医学にも精通する。
それが優秀な漢方医。
Tran Kim Quang(72歳) 1932年ナムディン省生まれ
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調合する漢方生薬は、中国から買い付けている |
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漢方に関する書物だけでなく、21歳から綴っているという趣味の詩も、本として出版したとか |
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奥行き75メートル、中に7家族が住む路地の脇に、こぢんまりと構えられた小さな漢方薬局。クアン(Quang)さんは、香木の香りに包まれ、お客のために日々薬を調合する漢方医だ。
彼は、もともとハノイから南へ100キロほど下ったナムディン(Nam Dinh)省の生まれ。1952年に祖父と父親が戦争でホーチミン市に出征した後、安全を求めてハノイの旧市街にやってきた。代々漢方医を生業とする家の9代目として生まれ、祖父や父親から中国やベトナムの漢方について、多くのことを学んだというクアンさん。その知識を活かし、古くから漢方薬街として名を馳せていたランオン通りで仕事を始めることとなった。
彼の漢方の特徴は、東洋の医学だけでなく、西洋医学の理論をミックスしたものであること。その知識と腕は、すぐにこの界隈で評判になり、通常25歳以上でなければ入ることのできなかった漢方医院会に、弱冠21歳で参加。その後、1993年には、漢方に関する書物も出版したという。
現在は、長年の知識と経験だけでなく、体で感じる気配から、気象を予測できるようにもなったというクアンさん。もちろん子供たちに漢方の知識を伝授し、彼らもまた漢方に精通しているというが、時代の流れか、子供たちは今は会社勤めで、旧市街の暮らしからも離れているという。
店名:Tran Kim Quang
住所:51 Lan Ong St.
電話:(04) 8287212
時間:8:00〜11:00、14:00〜16:00 |