<ハノイ旧市街訪問、古の街の職人たち>
ハンマム通り
[PHO Hang Mam]
その昔、卵を扱う店が多かった東側は卵屋(ハンチュン Han Trung)通り、エビや魚などを発酵させた調味料「マム」の専門店が並ぶ西側はマム屋(ハンマム Han Mam)通りと、ハンクワット通りと同様に、この道も2つの通りに分かれていた。しかしフランス植民地時代に道を統合。一時リュードゥラソミュール(Rue De La Saumure/ヌックマム通りの意)と呼ばれていたが、1945年のベトナム独立後、元のハンマム通りと改名されることになった。
そんなハンマム通りだが、現在は卵やマムの店はなく、ズラリと石版が並ぶ、墓石屋が集まる界隈となっている。
<墓石彫り職人>
商品が墓石だから、お客が多いのは
喜ばしいことじゃないけどね。
Le Duc Tho (50歳) 1956年ハノイ生まれ
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調合する漢方生薬は、中国から買い付けている |
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墓石の価格はサイズやデザインで異なり、写真なし8万ドン(約570円)〜、写真あり40万ドン(約2840円)〜。写真がなければ1日、写真入りでも1週間ほどでできる |
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顔写真が入り、日本のものよりかなりきらびやかなベトナムの墓石。ハンマム通りには現在、6軒程の墓石屋があり、軒先にはたくさんの見本が並べられ、旧市街の中でも独特のその景観は、多くの旅行者の注目を集めている。
そのうちの1軒であるトー(Tho)さんの店は、4人のスタッフを抱える、少しばかり大きな店。祖父の代から墓石作りをはじめ、ここに住むようになったという。
物価の安いべトナムとはいえ、墓石はやはり値のはるもの。ほんの数年前までは立派な墓石を注文できる人は限られており、仕事も家族で全てをこなせる程度の量だったという。しかし、ベトナムの経済が発展するにつれ、庶民にも手の届くものとなった。更に数年前に墓石彫り用の機械が登場、機械処理で写真を埋め込むことも可能となり、受注と生産の数は飛躍的に増加、店の規模もどんどん大きくなっていったという。
とはいえ、機械化が進む中でも、名前、生没年月日、住所や年齢など、個人情報の文字部分は今でも手で彫り進められる。墓石のデザインは、主にハスや竜を描いたものが多いという。
生まれも育ちもハンマム通りのトーさん。午後にスポーツを楽しみ、ビールを飲むのが唯一の楽しみという彼は、昔の街並みを次のように振り返る。
「幼い頃、このあたりの家はすべて平屋で瓦屋根の木造の家ばかり。遊ぶ場所といえばホアンキエム湖だったね。旧市街の生活は、少し歩くだけで何でもあって、とても便利で気に入っているよ。」
店名:LE TRUNG KY
住所:24 Hang Mam St.
電話:(04) 8269171
時間:7:00〜18:00 |