[ノンラーを作る職人たち]
ノンラー工房の主
ファム・トゥアン
Phan Thuan (42)
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学校が終わった後、作業に来る女の子も |
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ノンラーを編む人は女性が圧倒的に多い |
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自宅兼作業所、工房で働く人たち、後列左端がトゥアンさん |
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「ベトナムだけでなく外国の人でも、ノンラーを知っているとは嬉しいね」
フエ市の東方、市街地と海岸線との間に広がる田園地帯の中には、ノンラーで生計を立てている人々が住む集落、通称「ノンラーの郷」が点在している。
そんな中の1つ、ユンダイ(Dien Dai)村は特にノンラー作りをする人が多いことで有名だ。ここには家族単位ではなく、ノンラーを作る職人を抱える工房があった。
そんな工房の1つ、ファム・トゥアン(Phan Thuan)さんのところでは、トゥアンさん夫婦に加え、4人の若い女性が共にノンラーを制作していた。「どうしてノンラーを作っているのかって? ユンダイはノンラーの村だからね。ウチだって、もう何世代にも渡って作ってきた。だから、その仕事を継ぐ以外のことは考えなかったねえ」と、トゥアンさん。
ノンラーを作る人が多いこの村には、問屋さんが買い付けに来る。それらは、フエ最大の市場、ドンバ市場に並ぶ。フエ市内まではバイクで30分ほどの距離。しかし、トゥアンさん自身が、フエに行くことはめったにない。ノンラー作りに携わっている女性も「1年に1回だけ、テト(ベトナムの正月)の準備をするために、フエの町まで買い物に行くんですよ。それが1番の楽しみ」と言う。それくらい、村の外は「遠い世界」なのだ。
35年以上ノンラーを作り続けているトゥアンさんですら、「外国人がノンラーを買うとは初耳」だという。「日本人もノンラーをかぶるのですか?」という質問まで飛び出した。「お土産でも何でも、多くの人がノンラーを使ってくれるのは嬉しいことだね。それで、値段が上がると良いんだけどね。今はノンラーを作る人は減る一方だけど、そうすればこの伝統を受け継いで行こうという人が、増えるに違いないから。」
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