[ノンラーを作る職人たち]
ノンバイトーを作る人
ファン・ティ・ヴァン
Phan Thi Van (60)
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紙を挟んでいくのも神経を遣う作業だ |
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左)ノンバイトーの仕組みは実は単純 右)この姿勢で朝7時から夜10時まで働く |
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作り方を習得するまで3ヶ月かかったという |
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「ノンバイトーはフエの誇り、戦争があっても作り続けてきた」
フエの特産品として有名なのがノンバイトー(Non Bai Tho)。一見普通のものと同じだが、光にかざすとフエの情景や詩が浮かび上がる、透かし装飾の入った美しいノンラーだ。ファン・ティー・ヴァン(Phan Thi Van)さんも、やはり代々ノンラーを編んできた一家に生まれ、45年間、この仕事を続けているという。
「ノンバイトーは、2層になったノンラーの葉の間に切り絵された紙を挟んで作る。1番下の葉を、凹凸なく入れていくのが肝心で、これがきれいに決まると、上に切り絵を載せるのが上手くいくんだよ。」間に挟む切り絵紙は、フーカム地区の業者からまとめて買って来る。使っている絵柄はいつも同じで、チャンティエン橋、ティエンムー寺、フエの情景を歌った詩、それから「Hue 2005」という文字が施されているもの。
ヴァンさんの家があるのは王宮の裏手。フエはベトナム戦争中の激戦地の1つでもあり、ヴァンさんの足にも爆弾で受けた傷跡がいまだに残っている。また兵士だった夫はベトナム戦争で戦死した。
「家で子供の世話をしながらでもできる仕事」という理由で、続けてきたという。3人の兄弟と2人の姉妹、そして2人の娘さんも、ノンラー作りをしているのだそうだ。「でも孫には、この仕事はさせたくないねえ。辛い仕事だし、収入も低いからね。」毎日朝7時から夜10時まで働いて、2個程度のノンバイトーを作る。市場への卸値は、1万ドン(約70円)程度で、収入は1日2万ドン(約140円)程度。
「ビントゥアン省で作ったというノンバイトーを見たこともあるけどね、やっぱりフエのものには敵わないね」と、出来上がりを眺めながらヴァンさんは目を細めた。
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