一人の建築家が描いた、
未来のインドシナ
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Ninh Binh(ニンビン)省にあるPhat Diem(ファットジェム)教会に大きな影響を受けたというエブラール。歴史博物館の内部も木造建築の柱梁架構が、鉄筋コンクリートで再現されている。 |
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ハノイの街並みの基礎を作り上げたErnest Hebrard(エルネスト・エブラール)。この歴史博物館(旧フランス国立極東学院付属博物館)もまた、そんな彼の作品だ。オークル系の色調でまとめられたこの建物は、ハノイで最も美しい建築物のひとつといわれ、インドシナ様式の傑作とされている。特に大きな八角錘の屋根を持つエントランスホール、あえて左官仕事で描かれた壁面の小屋組みや屋根の下にある梁・桁など、至る所に徹底したエキゾティシズムが貫かれていることが見て取れる。
しかもまた、この建物は記念すべき彼のインドシナ様式の第1作。つまり、従来のフランス式ともベトナム式とも異なるこの建築には、はるばる海を越えやってきたフランス人の好奇心が、そこかしこに詰め込まれていると言えるのだ。
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