ベトナム社交界を育んだ
コロニアル建築の雄
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↑今あるのは復元されたものだが、元々あった装飾は全てフランスから輸入された。装飾のデザインは華麗な第3フランス共和制(1871〜1940)時代の様式の影響を大きく受けている |
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フランス式の街づくりに欠かせない建物といえば、やっぱり劇場。規則正しく配置された街路の突き当たりに、街の象徴となる壮麗な建造物を置く「ビスタ」というフランスの街路計画にのっとって、この市民劇場も建てられた。
レロイ(Le Loi)通りの突き当たり、ホーチミン市最大の繁華街であるドンコイ(Dong Khoi)通りに沿うこの劇場は正面上部に舞う天使像や色彩豊かな壁画など、その全てにおいて他を圧倒する美しさを持っている。建築家Ferretがデザインしたバロック様式の建築は、2段になった赤茶色のマンサール屋根を掲げ、施された細かな装飾は雨ドイにまで。華やかな上流階級の人々が夜毎ドレスアップして訪れていた当時の雰囲気を、今でも感じさせてくれる。
1955〜1975年の間は、南ベトナムの国会議事堂として使用され、当時は行政使用の目的から、より無機質な外観に変更された。残念ながら現在の外観は1998年のサイゴン300周年記念に際し復元されたものだけれど、166万6000ドルもの費用をかけ、建築当時の形を忠実に再現。十二分に趣深い雰囲気を持つ、ホーチミン市の顔として、今の時代も多くの人々に親しまれている。
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