フランスの香りを感じる
建築散歩の始まり
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
↑左右合計6個の鐘を持つ、大聖堂の象徴とでも言うべき尖塔。だが実はこの2つの塔は1895年に後から付け加えられたもので、落成当時塔は無く、高さも36mを少し超える程度だった |
|
ドンコイ(Dong Khoi)通りとレユアン(Le Duan)通りが交差する所にそびえ立つ、サイゴン大聖堂。真っ青な空に向け、頂きに十字架を掲げた2本の尖塔が伸びる様は、ホーチミン市の中でも最も西洋の香りを感じさせ、誰もが一度は訪れる恰好の記念写真スポットだ。そこで各国からの影響を多大に受けてきた、ホーチミン市の建築散歩は、まずココから始めてみよう。
この大聖堂は1877年に建築が始まり、3年の年月をかけ1880年4月11日に落成。直線と曲線を見事に組合わせた格調高いローマン様式の聖堂で、幅35m、奥行き93m、高さ57mを誇っている。しかも、材料はマルセーユ産のレンガをはじめ、本国フランスからわざわざ運んできたものを使用。当時のフランスが、この大聖堂へどれほど力を入れ、国の威信を保とうとしていたかがよく分かるというものだ。しかし、あくまでここはベトナム。熱帯でのレンガ造りの建物は、実は室内があまりに蒸し暑くなり、実用性は皆無だった。そこで造られたのが外壁に幾何学模様を描く通風孔。しかもその通風孔も、モルタル塗装がされていない質感豊かな赤レンガを、巧みに抜いてデザイン性をアップ。フランスの建築スタイルと南国独自の気候風土、その双方を計算に入れた珠玉のデザインとして、この大聖堂の特徴となっている。
もくじ | 次のページ |