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メコンからアンコールへ...5月末、乾季終わりごろののトンレサップ湖。水上生活者たちの村は水の増減に合わせ、沖合いへと移る
トンレサップを臨む
海?のような湖
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|子供にとってトンレサップ湖は絶好の遊び場? |
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|9月、雨季になり水位の上昇と共に村は陸地へと近づいてくる。それでも自然のリズムで暮らす彼らにとって、家はあくまで水の上 |
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プノンペンを出た高速船はトンレサップ川をひたすらさかのぼる。途中、村があったり、漁をする小舟が浮かんでいたりする風景を楽しむ。3時間くらい走った頃だろうか、突然視界が開け陸地はどこにも見えなくなった。まるで海に出てきたような感覚。そう、これが雨期のトンレサップ湖なのだ。この季節、 湖からメコンへの流れは逆になり、たくさんの水が流れ込み湖の面積は乾期の三倍ほどの広さになる。この現象によって下流のメコンデルタは洪水になりにくいといわれている。
乾期には湖の真ん中に人が立っていて驚かされたりするが、今は水深6メートル。水の中にぽつんと立つ木々を見かけたり、水上生活者達も水路の奥深くに家を移動させていたりする。「今年は水が少ない」と地元の人はいうものの、紛れもなく乾期とは違う、雨期の姿をトンレサップ湖は見せている。
ベトナムとカンボジアの間で
水上生活をする
ベトナムコミュニティーをたずねて
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|ある村人が見せてくれた母親のカンボジアのパスポート。政権の交代により、現在彼らはカンボジアのパスポートを持っていない。しかし、国籍を持っていた証明として大切に保管されていた |
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そんな湖の上に住むベトナム人の集落がある。彼らから聞ける話がベトナムとカンボジアの結びつきを教えてくれるものと思っていた。しかし、語ってくれた話は私にはとても重く感じられた。挨拶代わりに「ベトナム人はカンボジア人より魚の捕り方が上手と言われているけど」と聞くと、「それは彼らが勝手に作ったイメージだよ」と答える笑顔は身の上に話が及んでも変わることはない。生まれ育ったのはカンボジア。越僑(海外在住ベトナム人)のIDは持っているが、親戚がいるわけでもなく本国との交流は皆無。自分たちが話すベトナム語が南部弁であるとは知っているが、先祖がいつどこから来たのかはわからないという。
魚を捕ることを糧とするのだから出身は当然メコンデルタのどこかと私は思うが、それを確かめるすべはなかった。子供達は学校でベトナム語を習うが、先生は村人の誰かで、決して本職の先生ではない。読み書きは教えているが、ベトナムの歴史を教えられるような人はいないという。そんな学校も今は建物が壊れ、やむなくカンボジア人の学校に通っているそうだ。その子供達に語り継がれる彼らのベトナムとはいったいどんなものになっているのか。重い話を軽く語ってくれた彼らに"郷愁"という思いはないのだろうか。私ごとき旅行者には語れないのか。複雑な思いで彼らの村を後にした。 |