太陽とのつきあい方
青く晴れ渡った空と美しい砂浜。泳いだり昼寝をするには最適な条件が目の前にそろっている。しかし、ビーチには人っ子一人いない。ただ、強い太陽の光が降り注ぐだけ。
ここはコンダオ島、人口5000人ほどの小さな島だ。無人島?と思ってしまうほどの静けさが島全体を包んでいる。ここに限らず、昼間っから泳いでいる酔狂な奴は誰もいないのがベトナムというところ。汗をダラダラ流しながら必死に観光をしたり、ビーチで真っ赤に日焼けをしたり。おおよそベトナム人の頭では思いつかないような行動をとっているのが外国人。もちろん私も外国人の一人であるが、あわただしい日程をこなす旅行者でないのが私の売り。時間に余裕があることに、ちょっとばかり優越感を持っていたりする。
冷夏から一転、気温が35度を越えた日本で熱中症で倒れる人が続出とのニュースを聞いた。とんでもなく暑いのはわかっているのに、いつもと同じようにあくせくと働かなければならない悲しい国民性。いかにも日本人らしいと納得もしてしまう。
でも、太陽との上手なつきあい方を知ってる彼らは、そんな無謀な行動はとらない。海から涼しい風が吹き暑さもゆるんできたころ、静かだった島が、にわかにざわめきたつ。ほらほら、みんなが夕涼みに繰り出してきた。泳いだり、散歩をしたり。家族連れや恋人たち、それにおじさんたちも思い思いに楽しんでいる。そして、それを被写体にする私も、暑い国で暮らすすべが身に付いてきたかなと思っている。
文・写真=福井隆也(ベトナム在住写真家の日々是撮影)
撮影地(Con Dao)
(ベトナムスケッチ2003年9月号) |