<ベトナム芸能界珍道中>
愉快・痛快・ウキウキ★SAKAI
第10話:バンド崩壊!? そして新たなる出発
時刻は19時。ゴック・ソンは翌朝8時には成田に来てしまう。実家までは、車で8時間はかかる距離。しかも台風の影響で豪雨。しかしWADAは躊躇う俺を強引に車に乗せ、豪雨の高速道路を信じられないスピードで飛ばす。そして、24時には祖父のいる病院に到着。もの凄い風と雨の中、たったの5時間で走り切ってしまったのだ。
俺はすぐに病室に向かい、祖父と面会することが出来た。この2日後に祖父は他界してしまうが、この事は一生忘れられない出来事だ。
WADAは実は、めちゃくちゃイイ奴だった。こんなに熱い人間には、出会ったことがない。普段は冗談っぽく振舞ってても、やる時は本当にやる。俺の中で何か確信めいたモノが生まれた気がした。
そのまま故郷の病院から成田空港に向かう。WADAは一睡もしていないのに、師匠の来日に間に合わせようと必死に車を飛ばす。無事、空港に到着した頃には、最初の知らせから12時間が経過していた。そんな俺達を師匠の笑顔が迎えてくれた。
「オー、SAKAI、WADA!ボクノムスコ!!」
早速ゴック・ソンをホテルに送り、夕方のレセプションパーティーまで、ホテルのロビーで熟睡した。パーティーでは色んな人に挨拶し、自分たちを売り込む。その会場で油ぎった太った怪しいオジサンが俺達に声をかけてきた。
「ゴック・ソンとシクロのCDを日本で発売しませんか?」
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(2008年3月号 | 2008年3月24日 月曜日 11:11 JST更新) |