<ベトナム芸能界珍道中>
愉快・痛快・ウキウキ★SAKAI
第9話:ベトナム凱旋!またもや天狗まっしぐら…。
早速次の日、俺はベトナム国営TVの音楽番組に師匠と共に出演、一緒に日本語とベトナム語で2曲歌った。
ホテルに戻ると、フロントの従業員から
「テレビ見たよ。歌手だったんだね」
とサインをねだられる。
俺はまたしても天狗になり、再び「勘違いスター病」が発病。どうやら、ベトナムという土地に来ると、その病に侵されてしまうようだ。師匠がいるから騒がれているのに、すべて俺の人気だとすっかり勘違いしていた。
ベトナムに滞在し、師匠と共に歌った10日間。この間の出来事を、俺は日本に帰国してから
「俺はベトナムでも有名だ」
と吹いてまわっていた。
そして得意の営業で色んな所をまわり、テレビにもラジオにも雑誌にも新聞にも、あらゆる所に売り込みをかけた。歌唱力を付けるべく、ボイスレッスンにも通った。大学の合唱サークルにも外部から参加して、とにかくひたすら頑張った。
そして、日本でもベトナムのスターが通用する事を見せるべく、バンドを結成して本格的に日本デビューに備えた。
しかし、思うようには行かないもんだ。組んでいたバンドのギタリストが突然、練習にもライブにも来なくなった。
これではダメだ。このまま、俺のスター街道が絶たれては困る。
俺は他のギタリストを探し始めた。
そんな時、俺の脳裏には憎きライバルWADAの顔が浮かんでいた…。
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(2008年1月号 | 2008年1月9日 水曜日 10:43 JST更新) |