<ベトナム芸能界珍道中>
愉快・痛快・ウキウキ★SAKAI
第6話:俺は音痴…。歌手への道は閉ざされた!?
☆前回までのあらすじ☆
WADAが順調に芸能界デビューを果たしたのを知ったSAKAI。ダンスの練習しか許されない現状に、師匠ゴック・ソン(Ngoc Son)への不満が激増。だが、そんなSAKAIの思いが通じたのか、師匠は歌手デビューも約束してくれたのだったが…。
深夜のダンスレッスンに加え、ついに歌のレッスンがはじまった。
師匠ゴック・ソン(Ngoc Son)は若くしてベトナム歌謡界のトップに立つ大物歌手だ。元々は民謡歌手としてデビューしたのだが、今ではポップスをはじめとする多ジャンルの楽曲を歌いこなし、並行して様々な歌手のプロデュースも行っている。
歌唱力ももちろんだが、奇妙な肉体ダンスも魅力のひとつと言われている。だからコンサートでは、老若男女たくさんのファンに囲まれる。そんな師匠の一番弟子となったことは光栄といえるのだろう。
歌のレッスンは、とても単純なものだった。師匠にベトナム歌謡の入ったCDを渡され、1週間で1曲歌えるようにと言われた。
ベトナム語も話せない俺は正直戸惑ったが、やるしかない。独学でベトナム語を勉強していた俺は、まず発音をカタカナ表記にして歌詞カードを作り、暗記することからはじめた。
本来そのような覚え方は良くないようなのだが、切羽詰っている俺にはそんなことを言っている余裕はない。そうでもしないと、ベトナム語の発音なんて身に付くはずもないと思っていた。何度となく曲を聴き、メロディごと頭に突っ込んだ。
師匠と顔をあわせる度に、
「SAKAI、ウタエマスカ〜? ハァン」
と言われ、アカペラで歌わされる。
そしてその度、
「キミ、ダメ〜。メロディ、ナイ」
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(2007年7月号/2007年7月27日 金曜日 10:48 JST更新) |