| <ベトナム芸能界珍道中>愉快・痛快・ウキウキ★SAKAI
 第1話:俺ってすごい?!憧れのベトナムデビュー
  年明けの1月半ば、自暴自棄になりかけていた頃にかかってきた1本の電話。 「サカイ君、遅くなってごめんね。君に決定したよ!!」スポンサーからだ。 「…マジッ!?大マジー!!俺ってやっぱりすげえ。」嬉しくて、天にも昇るような気持ちになった。あのインテリメガネが、すごくオシャレでクールに思えてくる。  俺が有頂天なのを知ってか知らずか、彼は淡々と続けた。 「歌は上手くなかったけど、君の年賀状に心動かされたよ」  えっ?そんなことでいいの??応募者は100人位いた。歌唱力じゃなく、年賀状が決め手になるとは。でもこれで夢が叶うんだと思うと夜も眠れず、ワクワクドキドキ。色んな人の応援や反対があったけど、必ず有名になって日本に凱旋帰国してやろうと心に誓った。  2001年2月11日。  未知の国ベトナムへと飛び立つ日だ。もの凄く興奮していた。しかし、なぜか見知らぬ長髪の少年が横にいる。ロン毛ブームだった当時、「センスがない」「時代遅れ」と言われながらも、長髪をダサいと思っていた俺。この少年について持った第一印象は「こいつはオカマ?」 
  実は、ベトナムデビュー候補は2人いて、最初に選ばれたのがこの少年。現在「xych-lo(シクロ)」として一緒に活動しているWADA(当時18歳)だ。自分が2番目だったと後で知り、有頂天になっていた自分が虚しく思えた。  最近、WADAに当時の俺に対する第一印象を聞いてみた。  「あー…。(しばし無言)俺はSAKAIさんのこと『こいつ、バカ?』って思った。まぶしい上下黄色のジャージ着て、星柄のリュック背負って来て、『俺はスターになる!』とか言ってるし。意味わかんねー。まちがいなくアホだと思って、それだけでちょっと疲れた。」  …相変わらずキツイこと言うなぁ。  今ではなんでも言い合える仲になったけど、最初の印象はお互い最悪。でも、この対面こそが今の芸能活動の原点で、ベトナムの国民的歌手・ゴックソン(Ngoc Son)の過酷な弟子生活の序章でしかなかった、なんて夢にも思っていなかった。 文★SAKAI協力★kickey、菊池紘子
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