企業内異動と現地採用② 法人税上の論点について

企業内異動と現地採用② 法人税上の論点について

企業内異動の場合には
労働契約書は不要

2024年12月号の解説の通り、ベトナムで働く外国人労働者には「企業内異動」と「現地採用」の二つの形態があります。前者は現地法人との労働契約を結ばず、日本本社が発行するアサインメントレター(以下、任命書)に基づき、就労が可能です。

この企業内異動による就労の税務上の論点として、任命書が損金算入の証憑として十分かどうかが議論されています。ホーチミン市税務局は2018年のオフィシャルレターNo.13276/CT-TTHTで、企業内異動で就労する外国人労働者への給与支払いについて任命書に明記があれば、当該費用は損金と認められるとしていました。ただし、任命書には労働契約書同等の内容が必要など、注意点があります。

法人税の計算において
損金算入否認のリスクあり

しかし、2024年8月に税務総局が発行したオフィシャルレターNo.3468/TCT-CSでは、任命書を損金算入の証憑とすることに否定的な見解が示されています。

このように、任命書の証憑としての有効性は、当局内でも見解が分かれる問題です。各地方税務当局は新しい指針、上位機関の指針を重視する傾向にあるため、現在は任命書による就労が認められる企業内異動の場合でも、税務調査時に、労働契約書の有無に関する指摘を受ける可能性が高まっています。その場合は専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

Information

西川 貴陽
Nishikawa Takaaki

公認会計士(日本・米国)、日系企業担当インドシナ副統括ディレクター。EY新日本有限責任監査法人にて、監査業務や株式公開支援業務、財務デューデリジェンス業務に従事後、2016年よりEYベトナムに赴任。

Ernst & Young Vietnam Hanoi Office
電話:(024) 3831 5100
メール:eyhanoi@vn.ey.com www.ey.com

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