Q.自宅と職場間の通勤途中の事故は、労災として認められるのでしょうか?

Q.自宅と職場間の通勤途中の事故は、労災として認められるのでしょうか?

A.認められますが、一定の要件を満たす必要があります。

要件を満たせば労災対象に
自身の過失の場合は対象外

現行の2015年労働安全衛生法及び2014年社会保険法によると、通勤途中の事故は、以下の条件を満たす場合に限り、労災の対象になります。①通勤に必要な合理的な時間内の事故、②適切かつ合理的な通勤経路途中の事故、③事故により労働能力の5%以上を喪失、④事故の加害者を特定できない、又は第三者の過失により発生した事故(労働者の過失によるものではない)。

したがって、自身の過失による通勤途中の事故の場合は、労災の対象外です。労働者の過失の有無については、所轄の警察署が発行する書類に基づいて認定されます。

改正社会保険法施行以降の
補償内容は要確認

なお、2024年に社会保険法が改正され、2025年7月1日から施行されることになっています。ただし、べトナム社会保険機構の会議において、2025年の改正社会保険法の施行以降、通勤途中の事故については労災の対象外とする一方で、社会保険制度の下で、疾病手当の対象とすべきとする提案がなされています。

これはまだ提案段階であるものの、今後、通勤途中の事故についての補償の要件や範囲などが変更される可能性があることから、改正社会保険法施行以降の動向に注意が必要です。

Information

グエン・ゴック・ホン・アン
Nguyen Ngoc Hong An

ベトナム弁護士。主な専門は、海外企業のベトナム進出手続き、各種ライセンス手続き、外資企業の各種コンプライアンス、M&Aなど。

KAGAYAKI TNY LEGAL (VIETNAM) Co., Ltd.
メール:info@kt-vietnam.com
www.kt-vietnam.com

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