Q. 最低賃金を下回る従業員の給与引き上げの際、 他の従業員の給与も引き上げるべきですか?

Q. 最低賃金を下回る従業員の給与引き上げの際、 他の従業員の給与も引き上げるべきですか?

A.必ずしも引き上げる必要はありません。

賃金の額は企業と従業員間の
合意で決定

2024年7月1日から最低賃金が引き上げられたことにより、最低賃金を下回る従業員の給与を引き上げる企業も少なくないでしょう。その際、対象以外の従業員から、「一部の従業員だけの給与引き上げは不公平で、一律に引き上げるべき」という不満が出ることもあるかと思います。

賃金の額は、企業と従業員間の合意で定められるべきとされており(労働法90条1項)、昇給については、労働契約、集団労働協約または使用者が定める規定において定めるものとされていますが(労働法103条)、最低賃金を下回る従業員の給与引き上げの際、従業員一律で引き上げる必要はありません。

各種既定の見直しなどで
従業員間の不公平感の是正を

なお、労働法には、賃金に性別による差別を設けてはならず、また同じ価値を有する業務に従事する従業員に対しては同じ賃金を支払わなければならないという規定もあります(労働法90条3項)。最低賃金の引き上げに伴う対応とは言え、一部の従業員についてのみ給与を引き上げることについて、他の従業員が不公平を感じるという心情もわからなくはありません。

2年ぶりの最低賃金の引き上げを機に、給与を含む待遇面で従業員間に不公平感が生じないようにするため、各種規定を見直すのもよいかと思います。

矢根 俊治
Yane Toshiharu

かがやきTNYリーガル代表。日本国弁護士・ベトナム外国弁護士。主な専門は、知的財産、労働・人事労務、企業法務・ベトナム新規進出支援、ODA・政府及び公的機関の調査など。

KAGAYAKI TNY LEGAL (VIETNAM) Co., Ltd.
メール:info@kt-vietnam.com
www.kt-vietnam.com

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