子どもたちの選択の幅を広げるハノイインターナショナルスクールの日本語教育

ハノイで暮らす日本人の保護者は、国際学校に通う子どもの英語力や多文化への適応力に驚く一方、日本語教育の課題にも直面することがある。しっかりした日本語基盤なしでは、帰国後の選択肢が狭まる恐れがあるためだ。ハノイインターナショナルスクール（HIS）では、5～12年生の日本人生徒に日本語教育カリキュラムを提供している。その特徴や強みを、先生と生徒に聞いた。

PYP・MYP日本語言語・文学教師
尹博光先生カナダのトロント大学でバイリンガリズムと多文化主義の修士号を取得。兵庫県の公立高校、トロント大学、トヨタカナダ本社、サウジアラビアとベトナムの国際学校などで様々な科目を担当し、2024年で教職歴25年目を数える

保護者の期待に応える
充実した日本語カリキュラム

海外に駐在する保護者にとって、本帰国後の子どもの教育ついての悩みは尽きない。日本でも引き継きインターナショナルスクールに通わせるべきか、それとも国公私立の中学・高校を選ぶべきかを迫られるためだ。海外で英語教育に多くの時間を費やしながらも、日本語教育の重要性も考えなくてはならない。そんな不安を解消するために、HISでは5～12年生に日本語教育カリキュラムを提供している。

「当校の日本語教育カリキュラムは、2人の日本人教員が担当しています。両教員とも、日本をはじめ、北米、中東、アジア諸国で長年教職を積んできた経験があり、学力でのサポートはもちろんのこと、学校生活における精神的なサポートにも尽力しています」

このカリキュラムでは各学年に必要な漢字の読み書きや日本の地理、歴史、文化を学ぶため、多様な教材を使用。また、国際バカロレア（IB）の理念に基づき、自主的な学びと多角的な視点を育む教育にも力を入れている。

「小学５年生の終わりには、総合的に学習してきた内容と自分が興味関心をもった課題を発表するPYPエキシビションがあるほか、社会見学、オンライン人権教育も行われています」

12年生まで日本語の勉強を続けることで、バイリンガルの高校修了証が取得できることも魅力だ。

「簡単な日常会話だけでなく、さらに高度なアカデミックな場面でも、日本語と英語で対応できることが証明できます。卒業後の進路のみならず、先々の就職の際にも非常にプラスになると思います」

学校では、それぞれの生徒の育った家庭環境や教育背景、興味を理解することも大切にしている。

「日頃の小さな変化と思われる場合でも、生徒さんたちにとっては大きな試練や成長期に直面している場合もあります。日常の何気ないやりとりにも気に留めておく必要があると考えています」

7年生　尹太陽さん

興味を基にした学びで
日本語力を伸ばす
「HISでは毎週3時間の日本語クラスがあり、僕の日本語力を助けてくれています。クラスの始めに15〜20分の漢字勉強や好きな本を読む時間があり、先生は得意なことや不得意なことを理解し、様々な方法でサポートしてくれます。ノートの取り方や時間管理、日本語の表現も面白く教えてくれるので楽しいです。5～12年生まで日本語を教えている国際学校はハノイではHISだけなので、日本語と英語を両方学びたい人におすすめです。日本に帰国する可能性があるので、両方の言語を学べて安心しています」