山岳料理で味わう、「旅ゴハン」の気分

首都ハノイの若者の間で、ボランティアツアーで北西部の少数民族の村に行く人々が増えているという。しかし、個人旅行で訪れるには距離が遠いうえに道路も険しく、少々ハードルが高い。そこで、ハノイにいながらにして北西部の食で旅気分が味わえるスポットを紹介しよう。

皆で鍋を囲み、稀少な北西部の鶏肉を味わおう

チョティーンサパ
Cho Tinh Sapa

黒鶏は、モン族黒鶏（Ga Den H’Mong）ま
たは邪悪な鶏（Ga Ac）とも呼ばれている。皮・肉・骨のすべてが黒いという特徴がある烏骨鶏の一種

ディエンビエン（Dien Bien）省やハザン（Ha Giang）省特産の希少な品種、黒鶏を使用した「黒鶏鍋／ Lau Ga Den」（59万VND、４～5人前）が味わえる数少ない店。鶏の出汁が効いたスープにキノコ、野菜、リンゴなど山の幸がたっぷり入った鍋料理で、宅配サービスもある。鮮やかなランタンで飾られた店内では、無料でモン（Hmong）族の民族衣装の貸し出しもあり、料理を待つ間に写真撮影もできる。

Information

住所：1 Quan Nhan St., Thanh Xuan Dist.
電話：096 553 6886
営業時間：9:00～23:00 (L.O.)22:00
休日：なし
Facebook: ＠ChotinhSapa.AmthucTayBac
ウェブサイト: https://nhahangchotinhsapa.vn

珍果「チャーム」を使った、さまざまな料理を体験できる店

ニャーハンクアーチャーム
Nha Hang Qua Tram

チャームは、魚や肉の臭みを消す効果があり、煮込み料理に使われる。また、栄養価が高く、のどの痛みや二日酔い、美肌効果などに効くといわれている。旬の時期は10月～12月

店名の「クアーチャーム／Qua Tram」とは、高山地帯で栽培される果物で、カオバン（Cao Bang）省の特産。「青チャームの甘酢漬け／Tram Xanh Ngam Chua Ngot」（4万5000VND）や、「完熟チャームの塩煮込み／Tram Den Om Muoi」（6万5000VND）など、さまざまな味付けで試すことができる。使用する食材は、ベトナム農業農村開発省が認定した農業開発プロジェクトに基づき、直接農家から仕入れている。

Information

住所：21 Phung Hung St., Hoan Kiem Dist.
電話：094 292 1133
営業時間：9：00～22：00 (L.O.)22:00
休日：なし
Facebook: ＠Nha hang Qua Tram – 21 Phung Hung
ウェブサイト: http://nhahangquatram.vn
※ほか市内に1店舗

標高1500ｍの世界をハノイで感じる「ミニチュア北西部」

パオクアン
Pao Quan

モン族の女性たちを描いた映画『パオの物語／Chuyen Nha Pao』（2006年）に登場する家屋をイメージして作られた店内は、自然が豊富な空間。ハノイ市内に全3店舗を展開

Information

住所：1, 62 Tran Thai Tong, Cau Giay Dist.
電話：098 255 8946
営業時間：10：00～21:30 (L.O.)21:30
休日：なし
Facebook: @quankienPassionvsFresh
Instagram: ＠nhahangpaoquan
ウェブサイト: https://paoquan.vn

独特の香りにハマる!? 馬肉スープ

ベトナム北西部の料理を語るとき、モン族伝統の馬肉スープ「タンコー／Thang Co」は欠かせない。モン語で肉のスープ「カウター／Khau Tha」と呼ばれるこの料理には、発祥にまつわる物語が有名だ。

　200年ほど前、中国雲南省から移ってきたモン族は、高山地帯での食糧確保に困っていた。そこに突然、馬が現れ、「馬の皮で鍋を、肉で料理を作りなさい」と言い、そのお告げに従ったとされる。

　馬の肉、レバー、腸、骨、血液のすべての部位を使い、カルダモン、ショウガ、八角など10種類以上のスパイスと一緒に煮込む。独特の香りと苦みが強く、「3回食べればハマる料理」とも称される。山岳料理の店でぜひお試しを。