Q.「退職後に競業他社に就職しない」合意を 従業員とすることは可能でしょうか?

Q.「退職後に競業他社に就職しない」合意を 従業員とすることは可能でしょうか?

A. そのような合意は認められない可能性があります。

競合他社への就職を
一方的には禁止できない

競業他社への情報流出を防ぐ観点から、特に管理職クラスの従業員について競業避止契約の締結を検討する企業も少なくないでしょう。しかし、ベトナム憲法35条1項では、全ての市民に職業選択の自由が保障され、労働法10条1項では、労働者は、法律で禁止されない限り、あらゆる場所において自由に仕事と雇用主を選択する権利があると明記されています。また、雇用法9条6項では、労働者の合法的な権利・利益を侵害する行為が禁止されています。

従って企業は、従業員が競業他社へ就職することを一方的に禁止できません。

一方で、ベトナムの法律には、競業避止契約を直接規制する規定が存在せず、企業と従業員との間の合意に基づく競業避止契約が有効かどうかについては議論が定まっていません。

企業秘密の漏洩防止には、
秘密保持契約の締結を

従業員が企業の営業秘密や技術上の秘密に直接関わる業務を行う場合、企業と従業員との間で秘密保持契約を締結することは可能です(労働法21条2項)。契約に違反した場合における損害賠償についても規定できます。したがって、秘密保持契約を締結することで、競業他社への情報流出を一定程度防ぐことが可能となります。

グエン・フオン・タオ
Nguyen Phuong Thao

ベトナム弁護士。主な専門は、海外企業のベトナム進出手続き、各種ライセンス手続き、外資企業の各種コンプライアンス、M&Aなど。

KAGAYAKI TNY LEGAL (VIETNAM) Co., Ltd.
メール:info@kt-vietnam.com
www.kt-vietnam.com

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