2023.07.01

歴史と文化の証人を訪ねて。

ベトナムで渡る橋

ベトナムで渡る橋
19世紀前半まで、ベトナムで橋といえば北部や中部の屋根付き橋や、細い竹棒を渡しただけの南部のモンキーブリッジくらいだった。その後、フランス様式の鉄道橋が造られ、国の発展と共に斜張橋などが全国の主要な川に架かり、近年では奇抜なデザインの観光用の橋も登場している。「時代の証人」である橋の歴史を知り、ベトナムの歴史と文化に触れてみよう。

参考資料:Báo Điện Tử Đảng Cộng Sản Việt Nam
|Tạp Chí Kiến Trúc|https://tinhuyquangtri.vn|https://thuathienhue.gov.vn など


※記事の情報は2023年5月取材時点のものです
※店舗等の都合や現地情報により内容が異なる場合があります

目次

19世紀以前にタイムスリップ

屋根付き橋

17~18世紀に現在のベトナム北・中部で普及した屋根付き橋は、上部を瓦付きの家屋、下部は橋として造る「上家下橋/Thượng Gia Hạ Kiều」の伝統方式で建てられた。地域によって屋根のデザインに特徴がある。上部は寺院建築を基本としているため、遠くから見ると川に浮かぶ寺のようで、実際に祭壇を備えた橋もある。

来遠橋|Lai Viễn Kiều

ダナン国際空港からホイアンまでは車で50分ほど。2023年5/15(月)より、ホイアン旧市街に入る外国人観光客は1人12万VNDの入場券が必要

ホイアン市は2021年、姉妹都市のタインホア(Thanh Hoá)市に全長10m、幅4mの日本橋の模型を贈呈した

2万VND紙幣の太鼓橋 別名「寺橋/Chùa Cầu」、「日本橋/Cầu Nhật Bản 」。ベトナム(広南国)と日本(江戸幕府)の貿易がさかんだった16世紀後半、1593年に日本の貿易商人がホイアン(Hội An/会安)のホアイ(Hoài)川支流に架けた橋とされる。

「来遠橋」の名前は、論語の「朋あり遠方より来たる、また楽しからずや/有朋自遠方来/不亦楽」に由来し、広南国の明主・阮福淍(Nguyễn Phúc Chu)が1719年に名付けた。頭はインド、胴体がベトナム、尾が日本にある大鯰を封印するため、橋は剣として大鯰の背中を貫くように建てられたという伝説がある。

橋の中央には災害や洪水から守る道教の玄天上帝「鎮武北帝/Bắc Đế Trấn Vũ」の祭壇があり、旧正月元日や満月の日などに神の加護を祈る。また、商業港ホイアンの貿易紛争を仲裁する場所でもあった。

橋台と4本の橋脚はレンガ造り、上部は木造で、中国風の瓦屋根にはベトナム風の龍の彫刻や緑釉薬の陶器があしらわれている。橋の両端には守護神の霊猿と天犬の像が置かれており、猿年から犬年までの建設期間を表しているという説がある。

1990年2月に国家歴史文化遺跡に認定。現在8度目の改修作業中で、2023年末までの完了が予定されている。
橋種:道路橋
橋梁形式:5径間連続瓦屋根付き木橋
橋長:18m
幅員:3m
完工年:1593年
所在地:186 Tran Phu St., Hoi An, Quang Nam Province

タイントアン橋|Cầu Thanh Toàn

©oc.kham
フーバイ(Phú Bài)国際空港からフエ市内へは車で30分ほど。タイントゥイー村までは車で20分ほど

龍のレリーフがついた
琉璃瓦の屋根
フエ(Huế)から8kmほどのタイントゥイー村にある瓦屋根付き木橋は、後黎朝の黎顯宗(Lê Hiển Tông)皇帝の時代に登場。村人が畑に行きやすく、また旅人が休憩できるようにと、チャン・ティ・ダオ(Trần Thị Đạo)女史が私財を投じてニューイー(Như Ý)川の支流に架けた。

瑠璃色の釉(うわぐすり)を施した琉璃瓦の屋根には曲がりくねった龍のレリーフ、中央には龍頭のレリーフがあり、7本の排水管が備わっている。1990年にベトナム国家遺産に認定された。

橋の中央には村人により設置されたダオ女史を祀る祭壇があり、橋の両側は木製の欄干に沿って腰掛けられるようになっている。

例年のフエフェスティバル期間中は、橋の周りで木船レースや、音楽や詩歌、演劇などを組み合わせたユネスコ無形文化遺産の民俗遊びバーイチョーイ(Bài Chòi)が行われる。
橋種:道路橋
橋梁形式: 7径間連続瓦屋根付き木橋
橋長:17m 
幅員:4m
完工年:1776年
所在地:Thanh Thuy Village, Thuy Thanh, Huong Thuy, Thua Thien-Hue Province

ケイン村の橋|Cầu Làng Kênh

©Kim Chien/dangcongsan.vn

かやぶき屋根の木造橋 ナムディン省の三大「上家下橋」の1つ。乾燥したヤシなどの葉で覆われる木造の屋根付き橋で、小屋梁に刻まれた儒教の言葉により、約800年以上前の李(Lý)朝時代(1009~1225年)に作られたと推定される。低地のため大雨が降ると移動が困難だったため、村の長老たちが会議を開き、紅河から水を導く運河に橋を架けることを決めた。マメ科の材木(Cây Lim)を使い、全柱28本のうち直系50cm以上の主柱4本が川に埋め込まれている。夏になると村民たちは、橋でお茶を飲みながらお喋りをして過ごす。
橋種:道路橋 
橋梁形式:5径間連続屋根付き木造橋 
橋長:10m
幅員:4m
完工年:10世紀
所在地:Co Le Town, Truc Ninh, Nam Dinh Province

ルオン市場の瓦屋根付き橋|Cầu Ngói Chợ Lương

©Kim Chien/dangcongsan.vn

門の上で獅子が巻物を広げる ルオン市場の近くにあり、来遠橋、タイントアン橋と合わせてベトナムの瓦屋根付き橋のトップ3とされる。1辺35cmの正方形の石材3個を積み上げた石柱が6列に並び、木製の橋面を持ち上げるため、マメ科の材木を使った大きな小屋梁と小屋束がある。アーチ型の門の上部は2体の狻猊(さんげ、獅子)が巻物を広げたデザインで、「羣芳社橋」(=クアンアイン村/Quần Anh Xãの橋)と書かれている。

瓦屋根の損傷を防ぐために、別の石橋を建てたため、今は歩行者専用橋となっている。
橋種:道路橋
橋梁形式:9径間連続瓦屋根付き木制橋 
橋長:10m 
幅員:2m 
完工年:1511年
所在地:Hai Anh, Hai Hau Dist., Nam Dinh Province

トゥオン市場の瓦屋根付き橋|Cầu Ngói Chợ Thượng

©Kim Chien/dangcongsan.vn

青い石畳のある橋 黎(Lê)中興朝(1533年~1789年)の時代、貧民に畑を分け与え、悪さを諫めるなどの善行を積んだトゥオン村出身の役人の娘グエン・ティ・ゴック・スアン(Nguyễn Thị Ngọc Xuân)女史が、村人のために建てた橋。ゴック(Ngọc)川の両岸を結び、橋の南側と北側は幅1.7m、高さ2mのレンガ造り。どちらにも漢字で「上家橋」の文字が彫られ、橋面には青石で敷かれた石畳がある。橋から500mほどの場所にはゴック・スアン女史の礼拝堂があり、橋とともに国家遺跡に指定されている。
橋種:道路橋 
橋梁形式:続瓦屋根付き木橋 
橋長:17.35m 
幅員:1.7m 
完工年:17世紀
所在地:Binh Minh, Nam Truc Dist., Nam Dinh Province

19世紀後半~20世紀を知る

鉄 橋

フランス統治時代(1858年~1945年)はベトナムに建築などの高度な技術をもたらした。フランス人がハノイでベトナム初となる鉄道橋「ロンビエン橋」を建てた時から、ベトナムの現代史は数多くの激動の時代を経験。全国の橋は戦争などの歴史的な出来事と密接している。

ロンビエン橋 | Cầu Long Biên

タクシーでロンビエン駅近くのロングビエン橋のたもとまで行き、徒歩で橋を渡る。古い橋なので歩くと振動が感じられる

インドシナ時代から
ハノイの歴史とともにある
紅河デルタの中心からハイフォンや中国などに物品を流通させるため、1897年~1902年までインドシナ総督を務めたポール・ドゥメール(Paul Doumer)の指示でハノイの紅河の両岸を結ぶ橋として建てられた。「ドゥメール橋/Cầu Doumer」の別名をもつ。

1899年に着工し、1902年に完成したため「2世紀をつなぐ橋」と呼ばれた。19本の鋼製梁スパンと高さ40mを超える20本の柱をもち、当時のインドシナ最大の鉄橋として知られた。当初は鉄道橋として使用し、その後に作られた両側の歩行者用道路は自動車が登場した1920年代に拡幅された。

1954年にハノイがフランスから解放された後、「ロンビエン橋」に改名。ディエンビエンフーの戦いで勝ったベトナム軍隊はロンビエン橋を渡ってハノイに凱旋した。ベトナム戦争(1954~1975年)中に橋は爆撃で10回以上にわたり損傷。橋の高い場所にはアメリカ軍機を砲撃するため、対空砲座が設置されていた。1990年からは車両通行が禁止され、ハノイの代表的な観光スポットの1つに。橋の歩道には焼きとうもろこしなどの屋台が並び、夜明けと日没を見るのに格好の場所となっている。

Information

橋種:道路橋 橋梁形式:19径間連続鋼トラス橋
橋長:2290m 幅員:30.6m 主径間長:106.2m 完工年:1902年
所在地:Hoan Kiem Dist., Hanoi

ヒエンルオン橋 | Cầu Hiền Lương

フエ市内からバスで約2時間。または統一鉄道列車でクアンチ省ドンハー(Đông Hà)駅下車、そこからタクシーで30分ほど

©francyha

戦争で南北に
分断された橋
中部クアンチ省にあるベンハーイ(Bến Hải)川を渡るため、地域の人々により1928年に建てられた歩行者向けの木造橋が原型で、幅2mの鉄杭が打ち込まれた。1952年にフランス人は7スパン、全長178m、幅4m、鉄筋コンクリート橋脚、松材デッキ、両側欄干高1.2m、最大18tの新しい橋を再建した。

1954年のジュネーヴ条約でベトナムは一時的に南北に分断され、ヒエンルオン橋とベンハーイ川が暫定的な境界線となった。条約で決められた南北の総選挙が行われなかったため、ヒエンルオン橋は21年ほどにわたり北と南で89mずつに分けられた。

橋の両側では14年にわたり「国旗の戦い」が繰り広げられ、北部と南部の政府は国旗の高さを競って旗竿を掲げた。1962年に高さ38.6mの旗竿、幅134㎡、重さ15kgの旗を揚げた北部の政府が勝利を収めた。1967年に南部政府は1日をかけて空爆を行い、橋も北部政府の旗竿も崩れたが、その夜のうちに北部政府は別の旗竿を立てた。このようなことが何回が繰り返され、さらに南が橋面の半分を青色で塗るのに対して、北はすべてを一色に塗り替えるというやり取りや、プロパガンダスピーチ合戦などもあった。戦後、ヒエンルオン橋を含むベンハーイ川沿いの跡地は国家遺跡に指定された。

Information

橋種:道路橋
橋梁形式: 7径間連続鉄筋コンクリート橋
橋長:178m
幅員:4m
完工年:1928年
住所:Hien Luong, Vinh Linh Dist., Quang Tri Province

チュオンテエン橋 | Cầu Trường Tiền

観光用の人力三輪車シクロ(Xích Lô)でゆっくり橋を渡れる。ベトナム製のエアメール用の封筒には、満開の火炎樹とチュオンティエン橋が印刷されている

アンナム保護国時代に登場し、
エッフェルが改装した
フエを流れるフオン(Hương/香)川に初めて架けられた鉄橋。グエン(Nguyễn/阮)朝の成泰(Thành Thái)帝の希望により、皇帝の諮問機関である機密院がフランスに橋の建設を依頼した。6つのスパンからなる橋は、フオン川左岸にある王宮の城塞と右岸のフランス人街を結んだ。

歴史の流れと共に3回にわたり改名。当初は皇帝の名から「タインターイ橋/Cầu Thành Thái」と呼ばれ、成泰帝がフランス領マダガスカルのレユニオン島に流刑された後は、フランス首相の名前「クレマンソー/Clemenceau」に変更された。1945年にベトナム帝国首相チャン・チョン・キム(Trần Trọng Kim)は中部の荒地を取り戻した領主の名から「グエンホアン/Nguyễn Hoàng」と名付けた。この橋はグエン朝の安南造幣局の近くにあったことから、ベトナム南北統一後の1975年からは「チュオンティエン/Trường Tiền/場錢」と呼ばれている。

フランスが「この橋が崩壊したら、フランスは安南の独立を許す」と発表した4年後の1904年に嵐で橋が崩れ、1906年に鉄筋コンクリートの床版で再建された。1937~1939年にはギュスターヴ・エッフェルが改装を手掛けたが、その後の戦争で1946年と1968年にも崩壊した。1991~1995年に再建され、2002年からは橋が毎晩ライトアップされて、フエの人気スポットの1つとなっている。

Information

橋種:道路橋
橋梁形式: 6径間連続鋼桁橋
橋長:402.6m
幅員:6m
主径間長:67m
完工年:1897年
所在地:Phu Hoi, Hue, Thua Thien-Hue Province

景気の発展を象徴

21世紀の橋

21世紀に入りベトナム経済が大きく成長するに伴い、先進国からの投資やコンサルティングを受けて現代技術を駆使した橋梁も次々と登場してきた。新しい橋は交通の利便性を高めるだけでなく、都市計画に新時代の息吹をもたらしている。

ニャットタン橋 | Cầu Nhật Tân

ノイバイ国際空港から車で20分ほど

日越友好の斜張橋 国際協力機構(JICA)による政府開発援助(ODA)事業として支援を受けたニャッタン(日新)橋は「日越友好橋/Cầu Hữu Nghị Việt-Nhật」として2015年に開通した。鋼管矢板基礎など日本の建設技術を生かしてホン(Hồng/紅)河に架けられた7本目の橋。ハノイ市内のタイホー(Tây Hồ)区とドンアイン(Đông Anh)県を結び、ハノイ市内からノイバイ(Nội Bài)国際空港までの車での移動時間が、以前の60分以上から、わずか20分に短縮された。ノイバイ国際空港とニャッタン橋を繋ぐ道路も、JICA事業として同時に建設されたことで、市内から空港へのアクセスが大幅に改善された。

ベトナムで最長の斜張橋の1つで、8車線あり、橋の5塔は五行思想の元素「火・水・木・金・土」と、タンロン皇城(Hoàng Thành Thăng Long/皇城昇龍)の5つの城門跡を表している。

Information

橋種:道路橋
橋梁形式:5径間連続斜張橋
橋長:3755m
幅員:43.2m
主径間長:300m
完工年:2015年
所在地:Tay Ho Dist., Hanoi

カントー橋 | Cầu Cần Thơ

©Huynh Thanh

メコン川最大の支流を跨ぐ橋 JICAによるODA事業として建てられ、カントー市とヴィンロン(Vĩnh Long)省を結ぶメコンデルタ地域の主要経済圏を繋ぐ橋。メコンデルタへのアクセスには、ハウ(Hậu)川で国道1号線が分断されており、フェリーでの渡河には約2時間を要したが、同橋の建設により大幅に短縮された。建設中の2007年に仮設橋脚の崩落事故が発生した後、事故再発防止のための提言・ガイドラインが纏められ、全ODA事業の安全管理の強化に繋がった。

Information

橋種:道路橋 橋梁形式:7径間連続鋼コンクリート複合斜張橋
橋長:2750m 幅員:23.1m 
主径間長:550m 完工年:2010年
所在地:Cai Rang Dist., Can Tho

ドラゴン橋 | Cầu Rồng

夜に火を噴くハン川6番目の橋 ダナン国際空港とソンチャー半島を結ぶ橋で、ダナン市解放38周年を迎えた2013年3月29日に開通した。米国の会社が設計し、幅3.75mの6車線と、2本の歩道をもつ。金色の龍は全長568mで、腐食を防ぐため5層で塗装された。龍がハン川を越えて海へと飛んでいく姿を表現し、「世界最大の鋼鉄ドラゴン」としてギネス世界記録に登録されている。毎週土・日曜の21時には龍が火と雨を噴く演出があり、ダナンの観光名所の1つとなっている。

Information

橋種:道路橋 橋梁形式:5径間連続鋼鉄筋コンクリート梁橋  橋長:666m
幅員:37.5m 主径間長:200m 
完工年:2013年
所在地:Hai Chau Dist., Da Nang

バイチャイ橋 | Cầu Bãi Cháy

©umii.gore

北部の主要経済圏をつなぐ JICAによるODA事業として支援を受けたハロン(Hạ Long)湾に架かる橋。ハノイ―ハイフォン市―クアンニン省をつなぐ国道18A号線のほぼ中央に位置し、以前はフェリーがホンガイ(Hòn Gai)区とバイチャイ(Bãi Cháy)区をつないでいた。開通後は両区間での朝夕の混雑が大幅に緩和され、フェリーと航路が交差していた大型船舶の通行の安全性が向上。ハロン湾は台風が多く通過するため、耐風対策など日本の技術が活用されている。

Information

橋種:道路橋 橋梁形式:6径間連続斜張橋 橋長:903m 幅員:25m 
主径間長:435m 完工年:2006年
所在地:Ha Long, Quang Ninh Province

フーミー橋 | Cầu Phú Mỹ

ホーチミン市最大の斜張橋 サイゴン川に架かる2区と7区を結ぶホーチミン市最大の斜張橋。民間コンソーシアムのフーミーブリッジ社(PMC)の資金とドイツ、オーストラリア、フランスからの輸出金融により建てられ、2009年にベトナム独立記念日の9月2日に開通。6車線があり毎日10万台の車両が通行できるようになり市内の渋滞緩和に貢献した。専用通行帯があり、夕焼けや夜景が美しい人気のデートスポットの1つ。橋の周りにはベトナム料理店が多く並ぶ。

Information

橋種:道路橋 
橋梁形式:2径間連続斜張橋 
橋長:2032m 幅員:27m 
主径間長:705m 
完工年:2009年 
所在地:Tan Thuan Dong Ward,
Dist. 7, HCMC

オンロン橋 | Cầu Ông Lớn

©hientran3293

”ミツバチ運河“に架かる”大旦那“ 遠くからも赤いアーチが目を引く、ベトナム初のコンクリート充填鋼管を用いた12車線の橋。多くのミツバチが巣を作るオンロン運河は元々「オンロン/Ong Lớn」(=大きなハチ)と呼ばれたが、多くの人が「オンロン/Ông Lớn」(=大旦那)と間違って呼んでいたため、そのまま「オンロン」(=大旦那)の名がついた。

この橋は結婚の写真撮影スポットとして人気なほか、ベトナム映画『死神の救出/Giải Cứu Thần Chết』のロケ地として知られる。

Information

橋種:道路橋 
橋梁形式:鋼管コンクリート橋  
橋長:446.1m 
完工年:2004年
所在地:Tan Phong Ward, Dist. 7, HCMC

カインホイ橋 | Cầu Khánh Hội

©TrungRua

フランス統治時代は回転橋だった 元々は1904年にサイゴン初の回転橋としてフランスにより建設され、1954年にコンクリートで再建された。2006年にサイゴン川渡河トンネルの建設に伴い取り壊され、4車線に対応する橋として新たに建てられた。きれいな曲線を描き、ホーチミン市の1区、4区、7区、ニャーベー(Nhà Bè)県を結ぶ。ニャーロン(ドラゴン)埠頭(Bến Nhà Rồng)跡のホー・チ・ミン博物館(Bảo Tàng Hồ Chí Minh)に近く、橋周辺の地価は非常に高い。

Information

橋種:道路橋 
橋梁形式 4径間連続コンクリート橋 
橋長:167m 
幅員:22m 
完工年:2009年 
所在地:Nguyen Thai Binh Ward, Dist. 1, HCMC

そのユニークさに注目!

観光橋

南部の田舎のモンキーブリッジから巨人の手に持ち上げられているようなダナンのゴールデンブリッジまで、交通インフラとしてではなく、観光スポットとなっている橋は多い。「なぜそんな橋を?」な疑問に迫ってみた。

ゴールデンブリッジ | Cầu Vàng

ダナン市からバーナー山まではタクシーで約40分。山頂まではケーブルカーでのみアクセス可能。入場料にはケーブルカー搭乗料が含まれ、大人80万VND、子ども(身長100~140cm)65万VND。ゴールデンブリッジの営業時間は8:00~18:30

「神の手」が「愛の庭園」へといざなう ダナン近郊の観光スポット「バーナーヒルズ」内にあり、ランドスケープを専門とする建築家ファム・ティ・アイ・トゥイー(Phạm Thị Ái Thủy)氏のチームが手がけた。「神の住まい」をテーマにした愛の庭園「ル・ジャルダン・ダムール/Le Jardin D’Amour」のコンセプトに合うよう、雲海に浮かぶ「神の手」が黄金のシルクリボンを手にしているデザインとなった。

この橋を架けるきっかけは、ケーブルカー乗り場から庭園まで向かう下りの道が急すぎて、年配者や子どもは移動が困難だったこと。ドローンで確認すると景色がとても良かったため、自然に囲まれた道を作ることとなり、自然の風景に影響を与えないよう本来の地形を生かした設計となった。シルクリボンをもつ手は誰のものなのか、訪れる人の興味と想像力をかきたてる。

Information

受賞歴

①ワールド・トラベル・アワード(World Travel Awards/WTA)の「2022年世界を代表するアイコン観光橋/World's Leading Iconic Tourist Bridge 2022」
②米国『TIME』誌が選ぶ「世界で最も素晴らしい場所2018年/World's Greatest Places 2018」

橋種:人道橋
橋梁形式: 8径間連続ステンレス鋼管橋
橋長:148.6m
幅員:12.8m
主径間長:21.2m
完工年:2016年
所在地:Ba Na Hills, Hoa Ninh, Hoa Vang Dist., Da Nang

モンキーブリッジ | Cầu Khỉ

モンキーブリッジがあるベンチェー(Bến Tre)省の「ハイヴァンファーム」までは、ホーチミン市から車で約3時間。送迎サービス(7人乗り1台190万VND~)あり

メコンの橋と言えばこれ 数あるメコンデルタの支流には、竹棒を籐の縄で繋げただけのシンプルな橋が多い。竹の上を歩くときは、手すりにしがみついてバランスをとる必要があり、猿のように常に体を動かさなくてはいけないことから“モンキーブリッジ”の名が付いた。スパンの数は常に奇数で作られ、中央のスパンの下が川の最も深い部分にあたる。貨物船はこの真ん中のスパンの下なら安全に通れるのだ。

高さは1~2.5mほどで、子どもたちはよく橋から川に飛び込んで水遊びをする。大人たちが重い荷物を運んだり、自転車で渡ったりする様は、本物のメコンデルタ民であることを示しているかのようだ。  

近年ではコンクリート製の橋への架け替えが進み数は激減したが、エコツーリズムリゾートなどで体験できる。

Information

橋種:人道橋 橋梁形式: 竹幹橋
所在地:Nong Trai Hai Van, San Chim Vam Ho Tan Qui, Tan Mi, Ba Tri, Ben Tre Province

バックロンガラス橋 | Cầu Kính Bạch Long

©KieenTrong

断崖絶壁のガラスの吊り橋 2つの山をつなぐように架けられたガラスの吊り橋「ホワイトドラゴン」。地上150mの崖の上にある全長370mのガラスの橋面は、横2.4m×縦3mx厚さ4cmの強化ガラスを250枚使用した三層構造で、1度に450人までが乗れる。チケットは大人50万5000VND~、子ども35万VND~。2022年に「世界最長のガラス底の崖道」としてギネス記録を達成し、世界記録協会(WRA)にも認定された。周囲の景観を損なわないデザインも評価されている。

Information

橋種:人道橋 
橋梁形式:吊り橋
橋長:632m 幅員:2.4m 
完工年:2022年
所在地:Ban Lun, Muong Sang, Moc Chau Dist., Son La Province

スターライトブリッジ | Cầu Ánh Sao

ホーチミン市のデートスポット 7区の観光促進ための歩道橋として中国の建設会社が2009年に竣工した。橋の両側には太陽電池による7色LED照明があり、ライトアップされると数千の星の上を歩いているような感覚を与えてくれると、デートとインスタ映えスポットとして人気となっている。

半月の形をした湖を渡り、橋の西側には半月をイメージした「クレッセント広場」があり、東側にはレンガで作られた太陽のマーク「ケンダオ/Kênh Đào広場」がある。

Information

橋種:人道橋 橋梁形式:鋼管コンクリート橋 
橋長:170m 幅員:8.3m
完工年:2009年
所在地:Phu My Hung, Dist. 7, HCMC

キスブリッジ | Cầu Hôn

©Hoang Dinh Ngoc

フーコック島の新たな観光名所 イタリア人建築士マルコ・カサモンティ(Marco Casamonti)氏が設計。複合リゾート施設サンセットタウン(Sunset Town)の中央ビーチの防波堤として建設され、ここで1年中泳げるように波を抑える。織姫と牽牛の伝説や、フレスコ画『アダムの創造』からインスピレーションを得てデザイン。全長810mの橋は向かい合った2つ先端の間に50cmほどの隙間があり、夕日を背景にカップルがキスできる演出の舞台となっている。

Information

橋種:人道橋 橋梁形式:鋼橋
橋長:810m 主径間長:170m 
完工年:2023年
所在地:An Thoi, Phu Quoc Dist., Kien Giang Province
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