Q.残業をした従業員に対し、残業代の支払いではなく有給の代休を与えることは可能でしょうか?

Q.残業をした従業員に対し、残業代の支払いではなく有給の代休を与えることは可能でしょうか?

A.現行法では認められません。

時間外労働の上限時間と
手当の支払い義務

企業は、従業員の同意を得て時間外労働をさせられますが、法令で定められた上限時間(原則1ヶ月あたり40時間、年間200時間)を超えて時間外労働をさせることはできません。また、時間外労働をさせた従業員に対し、次のとおり時間外労働手当を支払う必要があります。
 ・通常の労働日:通常の時間給の150%以上
 ・週休日:通常の時間給の200%以上
 ・祝祭日:通常の時間給の300%以上

時間外労働を代休にすると
最高1億VNDの罰金

一方、代休の取得に関して、現行労働法では、週休日が法定の祝日にあたる場合に従業員の代休取得を認めていますが、時間外労働の代休に関する規定はありません。したがって、時間外労働をした従業員に時間外手当を支払わず、有給の代休を与える制度の導入は、現行法では認められていません。

もしこのような制度を導入すると、時間外労働および時間外労働手当に関する規定違反として、最高1億VNDの罰則が科されることがあります。なお、法令の規定よりも従業員にとって有利な制度は当然に認められます。したがって、法定の時間外労働手当を支払った上で代休を取得させるのであれば違法とはなりません。

グエン・ゴック・ホン・アン
Nguyen Ngoc Hong An

ベトナム弁護士。主な専門は、海外企業のベトナム進出手続き、各種ライセンス手続き、外資企業の各種コンプライアンス、M&Aなど。

KAGAYAKI TNY LEGAL (VIETNAM) Co., Ltd.
メール:info@kt-vietnam.com
www.kt-vietnam.com

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