第268回 日本が誇るモータースポーツ その魅力をベトナムへ

第268回  日本が誇るモータースポーツ その魅力をベトナムへ

新村竜一 さん
ドリームカート・オーナー

安心安全の設備と手頃な料金
新都市で一躍人気エンタメに
「幼い頃から親に連れられバイクなどに乗っているからか、ベトナムの子どもたちは自動車に興味津々。毎日のように利用してくれる人もいて、親御さんから『作ってくれてありがとう』とお礼を言われることもあります」

 朗らかな笑顔でそう話してくれたのは、2022年5月からビンズオン省の新都市で営業を始めたゴーカート場「ドリームカート」オーナーの新村竜一さん。様々な飲食店が集まる「ヒカリフードコート」の敷地を利用し、現地の人々の新たなエンターテインメントとして人気を博している。

「以前はメコンデルタのカントーで催していたのですが、新都市を開発するベカメックス東急社からお誘いを受け、ビンズオン省に移ることにしました。実際に始めてみると非常に子どもが多く、予想を超える集客。週末には数百名もの子どもたちに楽しんでいただいています」

 ゴーカートは乗用車から消防車まで多彩に揃えられ、一部バイク型の電動カートも用意。ワンランク上の乗り心地とスピード、ドリフトまで楽しめる車体もあり、子どもだけでなく大人も楽しめるラインナップが自慢だ。

 また、乗車前にはスタッフが運転方法を丁寧に指導するなど、安全面にも気を配る。それでいて子ども向け15分3万VNDから、週末のみ開催される大人向けカートでも10分15万VNDからと、気軽に何度でも楽しめる料金に設定。安心かつ本格的でありながら、敷居の高さを感じさせない絶妙なバランスが人気の秘訣のようだ。

乗り物を操る楽しさを通じて
レース文化を根付かせたい

 子どもたちの日々の楽しみとして人気となった「ドリームカート」だが、新村さんによると、実はゴーカート自体の認知度は既に高い。ベトナムの幾つかの遊園地にはゴーカート場があり、大都市では週末の歩行者天国で遊べたりもする。

「ただ、そのどれもが広い敷地にただ車両を並べているだけで、サーキットの形態は稀。そこで弊社ではサーキットを疾走するような感覚を味わえる『バルーンサーキット』を導入しました。単に乗って走るだけでなく、スポーツとしての楽しさ、乗り物を操る楽しさを感じてほしいんです」

 同時に、日本で長年携わってきたモータースポーツ業界での経験を元に、ゴーカートを含むモータースポーツの魅力も余すところなく伝えたいと話す。

「世界に誇る日本のコンテンツはアニメや料理だけではありません。自動車産業、レース産業もそのひとつで、業界レベルは世界有数です。今はゴーカート場の運営が主ですが、将来的には自動車メーカーと協力してレーシングスクールを開いたり、日本のレーサーを呼んでデモ走行イベントを開いたり。ベトナムの自動車産業、モータースポーツ産業の発展のお手伝いができれば嬉しいですね」

Information

新村 竜一 しんむら りゅういち

15歳からレーシングカートを始め、中部地区選手権優勝、全日本選手権への参戦など、25歳まで選手として活躍。引退後はレース運営に携わり、2022年に「ドリームカート」をベトナムで設立する。

Facebook: @dreamkart