第266回 「おもしろそう」で4匹の猫と一緒にベトナムへ 久留米らしいおもてなしの憩いの場を

第266回 「おもしろそう」で4匹の猫と一緒にベトナムへ 久留米らしいおもてなしの憩いの場を

福田誠治・華子夫妻
「ステン・デ・クレンネ」店主・ママ

友人の誘いでケーキ工場へ
コロナに翻弄された2年間
「飼っている猫が亡くなったら日本へ帰ろうか」
 そんな心づもりでホーチミン市へやってきた福田誠治さんと華子さん夫妻。きっかけはケーキ工場を経営している友人からの誘いだった。誠治さんは当時をこう振り返る。

「日本では物流会社などの事業をやっていました。友人を訪ねて遊びに来た時に、手伝ってくれないかと声をかけてもらって。妻も私も初めての業界でしたが、『おもしろそうだね』と、そんな軽い気持ちで来たんです」

 4匹の猫と一緒に2018年8月に渡越。工場があるビンタン(Binh Tan)区に住み、「月に1回、レタントン通りの日本料理屋へ行くのが楽しみ」という生活を送っていた。そして2年後、新型コロナの影響で工場への注文はなくなり、給料も出なくなった。

「少しでも工場のお手伝いを、という思いから始めたのがケーキ屋『ステン・デ・クレンネ』です」

 だが、「ケーキはまったく売れなかった」。目立たない立地のうえ、知り合いは皆無。そこでいろんなお店を訪れることから始めた。
「とくに周りの飲食店さんには来店や助言をいただいて助けていただきました」

 2021年2月からはお酒が楽しめる店へと転向し、売上が上がり始めた矢先、コロナ状況の悪化で11月まで休業となった。
「日本に帰ろうとも思ったんですが、猫がいますから(笑)」

 そう笑いながら華子さんは話す。

バーと久留米ラーメンから
いつか恩返しをするために

 華子さんは、ホステス業35年という接客業のプロだ。久留米の有名な高級クラブでママも務めていた。 

「その後は水商売は引退したんです。だからバーをやるとなって『なんでまた夜の商売をしないと?』って怒っていました(笑)」

 そんな華子さんを見ながら、「彼女はとにかく話の引き出しが多くて、その場を和ませ、知らない人同士を打ち解けさせてくれる。『また来るね』とお客様に言っていただける、素晴らしい仕事だと思っています」
 2022年7月からは、おでんや焼鳥で飲んでラーメンでシメる、故郷福岡・久留米の屋台の雰囲気を届ける第一歩として「久留米ラーメン」の提供を開始した。
「中細のストレート麺に、頭豚骨と背脂のみの独特のこくとクセがあるスープで、器の底に砕いた骨のザラザラが残るのが特徴です。久留米のラーメン屋さんを回って、1軒だけ快諾いただいた、老舗系列のお店にスープを分けていただいています」

 同時に誠治さんは、日本とベトナムで「福田商事」を設立し、食、人材、旅行、物流にかかわる事業も進めている。苦労や変化が続くベトナム暮らしにおいて、二人はそれ自体を楽しんでいるようだ。

「『私たちベトナムに住んでる!』と毎日思います。毎日に変化があって、若者も前向きな人も多くて。ベトナムに住んでいる私たちが合わせていかないといけないし、何かしらのお役に立ちたいと常に思っています」

Information

福田 誠治・華子 
ふくだせいじ ・ はなこ

ケーキ工場を経営する友人からの誘いで2018年に渡越。コロナ禍の2020年9月にホーチミン市でカフェ「ステン・デ・クレンネ/Sten de Clenne」を開業。現在は1階がバー、2階で久留米ラーメンを提供している。
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