メディカルトーク 毛虫の毒による「毛虫皮膚炎」 野外活動の際は肌の露出を極力控えて予防を

メディカルトーク

症例

5歳男児。森林に囲まれた農村に2週間ほど滞在中から背部に小さな皮疹が出現し、痒みと痛みがあった。帰宅後、症状が悪化したため受診。ステロイド外用薬と抗ヒスタミン剤を処方し、1週間で改善した。

痒みと痛みを伴う皮疹 悪化・長期化する前に診察を

受診時の皮疹は背部のみに限られていました。皮疹は、かさぶたを形成して紫色になっているものや、水膨れを伴う赤みのあるものが混在していたため、ヘルペス・帯状疱疹による皮疹と酷似していました。   しかし、発症から10日間と長期化しており、病変は背部全面に広がっていることからヘルペスなどではない印象でした。   診察中、患児との会話の中で、「森の中で遊んでいる時に毛虫を見つけた」との内容があり、毛虫皮膚炎を疑いました。   治療として、ステロイド外用薬と痒み予防の抗ヒスタミン薬の内服を開始しました。その後1週間の経過で症状は消失し、皮疹は改善を認めました。

毛虫に触れずとも発症の可能性あり 状況を伝えることも大切

毛虫皮膚炎は、日本では「チャドクガ」という毛虫が多いことからチャドクガ皮膚炎ともいわれています。刺されると数時間以上が経過してから激しい痒みを伴います。毛に直接触れるだけではなく、風に舞ってきた毛に触れるだけでも発症します。症状は数日から数週間ほど持続する場合があります。   毛が皮膚に残っている場合は、テープなどで取り除いてください。毛虫との接触が予測される野外活動をする際は肌の露出を控えることが重要な予防になります。   今回のように問診の会話にヒントがある場合も多く、当院ではコミュニケーションが取りやすいアットホームな環境作りを心がけています。
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