ベトナムの今がよくわかる /ベトナムニュース解説1月号

菅首相、最初の外遊先に ベトナムを公式訪問

菅義偉首相は2020年10月18日、ハノイを訪れ、9月の首相就任後初となる外遊を開始。内閣官房副長官、外務審議官、国家安全保障局長などが同行した。最初の外遊先にベトナムが選ばれたのは、日本が日越関係、日本の外交政策におけるベトナムの役割を極めて重視しているためとされ、各国が新型コロナ収束後の経済回復を見据え、各国との協力促進を模索するなかでの外遊実現となった。 (Tuoi Tre 10月19日,P.18)
解説 滞在中に菅首相は、書記長・国家主席、首相といった首脳陣との会談や日越大学の学生との交流のほか、両国法務省の協力強化や民間企業の投資に関するものなど、官民12件の文書交換に立ち会いました。   感染症の世界的流行という難局のなか実現した訪問ですが、振り返ると、2012年の政権交代後に当時の安倍首相も初の外遊先に選んでいるので、近年日本がいかにベトナムを重視しているかがわかります。   コロナ禍でも日本企業のベトナム投資意欲は変わらず、製造業からサービス業、インフラ、エネルギー、IT、医療など、多岐にわたる分野で事業展開が見られます。   現在の日本は、中国依存を減らし、国内生産と東南アジアへの生産移転などによるサプライチェーンの多様化を進めようとしています。   一方、ベトナムは潤沢な若い労働力だけでなく、世界的趨勢であるIT化・デジタルトランスフォーメーションに意欲的で、インフラ開発余地も大きく、消費市場の拡大も確実と、さまざまなビジネスチャンスが眠っている国といえます。

日本で暮らした 技能実習生たちのその後

毎年、日本での技能実習を終えた数千人がベトナムに帰国している。彼らは帰国後、どのような職種に就いているのだろうか。まずは、現在1600社あまり存在する在ベトナム日本企業への就職が挙げられる。日本語教師も人気で、日本語クラスを設ける学校や語学学校は多く、日本語教師の採用も常時行われている。通訳者も選択肢の1つで、日本での就労経験がある通訳者を求める企業は多い。(Nguoi Lao Dong 9月12日,P.8)
解説 記事によると、専門知識を持ち、日本語力が高く、貯金がある技能実習生には、帰国後に起業する人も少なくないそうです。日本で3年間働くと5億~7億VND(約250万~350万円)の貯金ができ、日本人の仕事に対する姿勢を学び、起業して成功を収めている人が多いとのことです。信頼を得て、勤め先企業のベトナム子会社の経営を任される例もあり、このパターンは、ベトナムの労働者国外送り出しおよび日本の技能実習制度の理想形かもしれません。   ベトナム労働傷病兵社会福祉省の統計によると、2019年にベトナムから海外に送り出された労働者は14万7387人、うち日本が約8万人。日本国法務省の統計では、2019年末時点の在日ベトナム人は41万1968人(前年末比24.5%増)、在留外国人全体に占める構成比は14%でした。   日本では、技能実習後も日本で働ける特定技能制度が創設されましたし日本でビジネスを始めるベトナム人も少なくありません。両国のビジネス交流が拡大する中、日本への留学や労働が人生の成功のきっかけになればうれしいです。
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