29屋的 越南食卓 /第45回

花を食うならベトナムで! このカジュアルさは野菜並み

29ya エディブルフラワーなるジャンルの食材が、この世には存在する。直訳すると「食用可な花」。例えば、バラやカーネーション、パンジーなど、花束や花壇などでもお馴染みの花が、レモンやリンゴに匹敵するレベルの各種ビタミン・ミネラルを含有しており、お皿の上で咲き誇る様は料理を見目麗しくする演出効果が抜群で、女子力高めな飲食店では、昨今よく使われているそうだ。   とはいえ、「へー、あの花、食えるんですか!?」と早合点して、その辺で貰ったり拾ったりした花を食べてはダメ、絶対! 観賞用の花には、栽培の段階で人間が食べることを想定していないレベル&種類の農薬や肥料が使われており、アナタが餓死寸前のヤギでもない限り、口にいれてはいけないのである。   ところで、ベトナム料理でも鍋や皿飯の具として、ふつーに「花」は食べられている。と言っても、花屋で売っているような花ではなく、カボチャやニラなどの野菜の花。実になる前のバナナの花や、李香蘭やテレサ・テンの歌でお馴染みのティエンリー(夜来香)の蕾など野菜に近いポジションのお花たちだが、その味や栄養、食感の素晴らしさときたら、値の張るエディブルフラワーに比べて、決して負けるものではない。というか、むしろ美味い。米の飯に合うのは、断然こっちなのである。   肉で言えば、仔牛と牛、ラムとマトン、ホビロンとアヒル。それぞれ味わいが違うように、植物の食べ頃にもいろいろな楽しみ方があるという、今月のお話でした。超の字がつくほど、ガッツ!

【今月の言葉】「花のいのちはみじかくて苦しきことのみ多かれど、風も吹くなり雲も光るなり」 BY 林芙美子
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