Q. 就業規則に違反した従業員の給与を 減額することはできるのでしょうか?

Q. 就業規則に違反した従業員の給与を 減額することはできるのでしょうか?

A. いいえ。できません。

損害賠償として
給与から控除は可能

現行の労働法では、企業は、従業員が会社の設備や資産に損害を与えたり、紛失したりした場合、これらに対する損害賠償として給与から一定額を控除することが認められています。

控除できる金額は、社会保険料、健康保険料、失業保険料及び個人所得税を控除した後の手取り給与の30%を超えてはならず、企業は控除する理由を従業員に通知しなければなりません(労働法102条)。

就業規則に違反した場合は
限定された懲戒処分のみ

しかし、企業は、これら以外の理由で給与から何らかの金額を控除することはできません。従業員または従業員自ら委任した者に対しては、直接、期日通りに給与全額を支払わなければならないとされています(労働法94条1項)。

従業員が就業規則に違反する行為をした場合には懲戒処分の対象とすることができますが、その処分の内容は、戒告、最大6ヶ月までの昇給延期、降格、解雇のみに限られており(労働法124条)、これらの代替手段として、給与の減額処分をすることはできません。

反対に、もしも法令で控除が認められている以外の理由で給与から一定額を控除した場合は、その企業は最大1億VNDの行政罰金を科されることもあるため、注意が必要です。

Information

グエン・ゴック・ホン・アン
Nguyen Ngoc Hong An

ベトナム弁護士。主な専門は、海外企業のベトナム進出手続き、各種ライセンス手続き、外資企業の各種コンプライアンス、M&Aなど。

KAGAYAKI TNY LEGAL (VIETNAM) Co., Ltd.
メール:info@kt-vietnam.com
www.kt-vietnam.com

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