29屋的　越南食卓／第40回

相失われた曜日感覚を取り戻す「金曜カレー」とは？

コロナによる外出規制中、何が困るといえば、イベントも飲み会もな～んにもないので、「あれ？　今日、何月何日何曜日だっけ？」とばかりに、時間の感覚が消失してしまうことである。閉鎖空間に閉じこもったまま、家族や、アパートのバオべー（守衛さん）か、近所のコンビニの店員ぐらいしか顔を合わせないような生活が続くと、心も体も鈍化していく。世界史レベルの非常事態なので仕方ないとはいえど、自分の元気と健康を盛り上げて自衛していくしかない今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか？　ところで、よく知られた話だが、祖国日本の海上自衛隊では、「金曜はカレーの日」と決められている。洋上、もしくは潜水艦での生活といえば、たしかに閉鎖空間＆代わり映えのない日常。週に一度、決まった節目を意識し、スパイシーな刺激を身体に与えることで、心身のコンディションを維持していくシステムらしい。元々は、明治時代に英国海軍が取り入れていた慣習で、冷蔵庫や冷凍庫がまだ発展していなかった時代、牛肉の臭みを消すスパイスの配合を植民地インドの食文化を取り入れて、艦上でも調理の簡単なシチューっぽいものとしてじゃがいもと共に食していたのを、米にぶっかけるスタイルに換え、21世紀の現在にも受け継いでいるのである。　何より、日本人にとってカレーライスほど、心がうきうきする食べ物はあんまりない。家族と一緒にひとつ鍋でガッツなカレーを作って、コロナの野郎を叩きのめしてやろうではありませんか。