従業員が在庫品を横領
示談と任意退職を進めるポイントとは

従業員が在庫品を横領<br>示談と任意退職を進めるポイントとは
交渉事例 No.003
日本企業A社において、会社の倉庫に保管されている在庫品が、従業員によって横領されているとの疑いが発生しました。社内の資料によれば、在庫品の数量に矛盾があることが分かっています。A社としては、従業員が横領の事実を認めれば、示談と任意退職で解決するつもりです。ただ、どのように進めればいいのか難しいと悩んでいます。

厳しい処分は避けられずとも
気持ちに寄り添う姿勢が大切

A社では、事実を正直に認めて損害額を弁償すれば、会社を辞めてもらうが刑事告発はしないと伝えました。従業員は、「詐欺に遭い、高利貸しにお金を借りた。架空取引を計上し、取引業者から横領金を受けとった」と弁解したものの、弁償するお金はないと述べました。

続く面談では、家族関係等、弁償金の支払いについて、今後の人生を案ずる姿勢を示しつつ、話し合いを行いました。結果、従業員は弁償金を会社に支払い、解雇手続きを受け入れました。

悪いことをした自覚がある従業員には、硬軟両面での環境整備が役に立ちます。特になぜそのような事をしたのか、その背景や動機に対して一定程度の同情、分かち合いの気持ち・姿勢を見せることにより、徐々に心が開かれていくことがよくあります。最終的には、厳正な処分に納得してもらえる程度になるまで、従業員の気持ちに寄り添うことが有用です。

伏原 宏太
Fushihara Hirota

ベトナム法専門家、ベトナム語同時通訳者、上智大学法学研究科法曹養成専攻修了。日本人として初めて、ハノイ法科大学、ベトナム司法省司法学院弁護士養成課程の正規課程を修了。現在、ベトナム国際商事調停センター公式調停員、日越大学非常勤講師、非営利法人「越日希望の轍プロジェクト」代表を兼務。

The Libero and Associates
メール:fushihara@libero.com.vn
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