ベトナムの今がよくわかる ベトナムニュース解説7月号

ビングループが AI研究所を設立

複合企業「ビングループ/Vingroup」は2019年4月17日、人工知能(AI)の科学的な基礎研究を行う研究所「ビンAIリサーチ/VinAI Reserch」設立を発表。自社のみならず、国家的なAIの優秀な専門家の育成を目的とし、Googleで活躍したブイ・ハイ・フン(Bui Hai Hung)博士が所長を務める。同氏が専門誌で発表した科学研究は100件近くに及び、アメリカで高評価される特許を10件以上持つ。 (Tuoi Tre 4月17日, P. 12)
解説 ここでは画像や動画、言語、音声、ユーザー行動などの処理や認識といった分野の機械学習、ディープラーニング、アプリケーションなどを中心に研究するそうですが、AIには越IT企業の関心も高く、最大手「エフピーティー/FPT」は2017年に、ベトナム初の自動会話・コミュニケーションプラットフォームを体験版として公開するなどしています。 米IBMがベトナムの4大学のAI教育を支援するなど、優秀なIT人材の宝庫として注目されるベトナムには、すでに世界各国の企業が開発拠点を置いています。韓国「サムスン/Samsung」がハノイに置く東南アジア最大の研究・開発(R&D)センターは、当初は外国人エンジニアが開発したソフトウェアをローカライズするといった基本業務だけでしたが、今やここで開発されたソフトが世界で使われるようになったそうです。 地場IT企業には日本との縁が深い例も多く、FPTは日本法人を置くなど国際戦略の最重要市場と捉え、2017年当時の報道によると日本が外国市場売上の約半分を占め、ソフトウェア人材の50%超が日本向け業務に従事しているそうです。

日系企業の人材採用、 ベトナム人従業員に求めることは?

人材採用の「ナビゴスグループ/Navigos Group」が2019年5月6日に発表したレポートによると、ベトナムで活動する日系企業でミドルクラス以上の採用ニーズが高まっている。その一方で日本語能力は日系企業就職における大きなアドバンテージではなくなりつつある。 また同社の日本担当の専門家によると、日系企業は全般的に、欧米系企業よりも給与面で劣ることから、優秀なベトナム人を集めることが難しい。 (Tuoi Tre 5月7日, P. 11)
解説 ベトナム全土で活動する日系企業は、商工会議所加盟企業だけで約1900社。ASEANトップだそうです。 日本企業の旺盛な進出から、近年は日本語人材争奪戦の様相も垣間見えますが、ベトナム全体として日本語話者の能力は向上しています。背景には、国内での育成の裾野拡大に加え、留学や技能実習から帰国した人々の存在もあるでしょう。記事では最近の大きな動向について、「5年前なら日本語能力試験N2があれば日系企業就職は比較的容易だったが、現在は求められる外国語能力が上がり、N2はアドバンテージでなくなっている」、日系企業に就職するなら日本語プラス1が欠かせず、「日本語と英語に堪能で業務の専門性があれば有利だ。一部日系企業は、活動範囲を中国語圏にも拡大している」としています。 さて、ベトナム人の能力が上がっているなら現地採用日本人の能力も上がらねばならず、“日本人”というだけでは就職先が見つからない日が来るかもしれません。他方、何か才能があれば、日本人の就職先も地場企業から欧米系まで広い選択肢があるとも言えるでしょう。
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