メディカルトーク　冬に小さなお子さんが下痢をしたら それは「ロタウイルス」かもしれません

症例

9ヶ月の男児。38℃の熱があり、水のような下痢が止まらない。離乳食も母乳も受けつけず、グッタリしたので来院した。点滴で水分補給して状態は改善した。ロタワクチンは未接種だった。

下痢を引き起こすロタウイルス 重症化すると脱水症状も

「ロタウイルス」は冬に流行し、乳幼児が感染すると下痢を起こします。初めて感染したとき症状が強く出やすく、水分補給が間に合わず脱水症状を起こす危険もありますが、繰り返しかかると軽症で済みます。 ウイルスがわずかでも口に入ると感染し、典型的には1～3日後に微熱や嘔吐とともに、白っぽくて酸っぱい匂いがする水下痢が繰り返し起きます。便には大量のウイルスがいて、症状は数日から１週間ほど続きます。通常は自然に改善しますが、重症化すると脱水症や血圧低下のほか、脳症やけいれん発作を起こすこともあります。反応が悪くグッタリしていたら、即座に病院で受診してください。

かかってしまったら衛生管理を 予防にはワクチン接種が有効

治療は水分補給などの対症療法だけです。ロタウイルスは感染力が極めて強いので、小さなお子さんや病弱な方がいる家庭では徹底的な衛生管理が必要です。下痢や吐物は飛び散らないよう乾く前に拭き取り、厳重に包んで捨てましょう。アルコールまたは次亜塩素酸で消毒する、石けんと流水で手洗いする、タオルや食器を分ける、なども必須で、これらはノロウイルス感染のときと同じです。 幸い、ロタウイルスには口から飲むワクチンがあります。ただし生後14週までに使わないと副作用が増えるので、対象のお子さんには忘れず接種しましょう。ロタウイルスワクチンは、ベトナムを含む世界4ヶ国でのみ生産されています。