目指したのは“自分が泊まりたい宿”
宿泊客が知人に紹介してくれるゲストハウスに
穴が空いた壁や天井を
完全リノベーションして開業
2017年8月15日にオープンしたゲストハウス「兎家(うさぎや)」。オーナーの石田安彦さんは、20歳から20年以上バックパッカーとして世界各国を旅行し、多くの宿泊施設を体験してきた。
「清潔さや美味しい朝食付きなど、自分がバックパッカーのときに感じていた“こうしてほしい”を詰め込み、細やかなサービスを提供しています。もちろん室料も最低限に抑えています」
開業から約1年間で宿泊客は1500人を超える。9割は日本人だ。
開業準備を始めたのは2017年2月。ベトナム人スタッフとホーチミン市内を見て回った。しかし目ぼしい物件が全く見つからず、5月まで粘ってそれでも無ければ日本に帰ろうと考えていた。
「20~30軒ぐらいは見たと思います。ギリギリで見つかったのが今の物件で、条件はほぼ満たしていたんですけど、天上にも壁にも穴が空いてるわ、ボロボロだわで、全てリノベーションしました」
草木や動物などが描かれた各部屋の壁はかわいらしく温かみがあり、2部屋分を繋げた1階のキッチンダイニングやリビングスペースには宿泊客が集まる。屋上に作ったテラスでバーベキューをすることもある。
「結果的に見つかって今の形があるので、ベトナムでゲストハウスを始めることができて良かったです」
「いってらっしゃい」と見送り、
「おかえり」と迎える
「口コミや紹介で泊まりにきてくれる人がいて、それが嬉しいですね」
“気に入ってくれたからだ”と自信に繋がる。オープン当初は人が全く来ず、18時には鍵を締め、たった1人の宿泊客を連れてローカル飯を食べに行ったこともあった。
「基本的に毎晩お客さんを誘って食事に行きます。“ど”ローカルは1人だとハードルが高いし、1人で来ても寂しくない宿だなって思ってもらえたらいいなと」
もともと大人数でわいわいするのが好きだった。日本にいたときにはバックパッカーのオフ会を開き、延べ1500人以上の参加者を集めた経験もある。
テラスでのバーベキューは1ヶ月に2~3回ほど。「朝から市場に買い出しに行って準備しなくちゃいけないので、大変なんですけどね」と笑う。時に日本語を学ぶベトナム人学生との交流会を開くこともある。宿泊客の繋がりから生まれた会だ。
やがて人が去っていくときには、「いってらっしゃい」と声をかける。
「どうせ、またどこかで会えるんですよ。なので、“さよなら”じゃないですね」
自分のバックパッカー経験の集大成ともいえる形を作り上げ、今後何をしていくかは悩み中だ。
「将来的には2号店、3号店を開きたいなと。でもそれには同じ気持ちの日本人がいないと無理ですね(笑)。同じクオリティを保たないと意味がないですから」
石田安彦 いしだやすひこ
京都府出身。20歳のときからアジア・ヨーロッパ・アフリカ・北中米などを旅する。2015年に渡越し、1年の駐在勤務を経て、2017年8月からホーチミン市公認ライセンス取得の兎家(うさぎや)ゲストハウスを1区にて運営している。
ウェブサイト:http://usagiyah.com