メディカルトーク 発熱や腹部右上の痛みを引き起こす急性胆嚢炎 発症した場合は72時間以内に早期手術を

メディカルトーク

症例

60歳男性。37℃台の発熱、右上腹部痛、嘔吐があり来院。エコーで胆嚢内に5個の結石と胆嚢壁のむくみを認め、急性胆嚢炎と診断。胆嚢摘出術を行い、4日後に退院となった。

結石が原因となることが多い胆嚢炎 ベトナムでは硬水が原因の1つ

胆嚢(たんのう)は長径10cm程度の袋状の器官で、肝臓右葉に付着し、消化酵素を含む胆汁が一時的に貯まり濃縮され、胆嚢管から総胆管を通り十二指腸に流入します。胆嚢炎の原因は結石が多く、胆汁のうっ滞(流れの悪化)、細菌感染で炎症を起こします。結石なしで発症する場合もあります。 症状は発熱や右上腹部痛で、黄疸が出る場合もあります。重症化すると胆嚢に穴があき、胆汁が漏れて腹膜炎、敗血症、血圧低下を起こし、緊急処置または開腹手術が必要です。胆嚢結石は女性、40代、肥満、多産でできやすいとされています。ベトナム人には胆石、尿路結石の方が多く、井戸水や水道水がカルシウムを多く含む硬水であることが原因の1つです。

発症後は早期手術が主流 脂肪やカルシウムの摂り過ぎに注意して

胆嚢炎を発症後72時間以内の場合、早期に手術(腹腔鏡下胆嚢摘出術)するという考えが主流です。肝内胆管や総胆管にも結石があれば、内視鏡または手術で除去する必要があります。重症例では皮膚から肝臓を経由して胆嚢にチューブを挿入し、感染した胆汁を体外に吸引、状態の改善後に手術します。摘出した胆嚢に癌がないか、病理組織検査で確認する事が必要です。 予防には食事の脂肪、カルシウムの摂り過ぎを避けるほか、健康診断のエコーで胆嚢結石の有無を把握しておくと診断の助けになります。胆石が見つかった場合、胆嚢炎を起こさなくても軽い痛みがあれば胆嚢摘出をお勧めします。心配な症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。
関連記事
Related Articles
世界平均の5倍!ベトナムのインフルエンザにご注意を
2024.01.20

世界平均の5倍!ベトナムのインフルエンザにご注意を

何もしていないのに起きる歯の痛み過度な噛み合わせや食いしばりに注意
2023.07.15

何もしていないのに起きる歯の痛み過度な噛み合わせや食いしばりに注意

脳卒中は、4時間以内の治療が肝要 緊急時に対応できる準備を
2023.06.19

脳卒中は、4時間以内の治療が肝要 緊急時に対応できる準備を

メディカルトーク 取れにくい子どものオレンジの歯垢 歯磨きの最後は「ぶくぶくうがい」を
2022.01.19

メディカルトーク 取れにくい子どものオレンジの歯垢 歯磨きの最後は「ぶくぶくうがい」を

メディカルトーク もうすぐインフルエンザの季節 コロナ渦だからこそしっかり予防
2021.12.19

メディカルトーク もうすぐインフルエンザの季節 コロナ渦だからこそしっかり予防