たべもの文学抄／水草／Bèo Tây / Lục Bình

炒めたりして食す水草だが、健康のため清潔な水源地で育つものに限定したほうがいい

意外と食べられている植物

水草といえばカゴバッグの素材としてよく使われるが、実はメコンデルタ地方の、特に貧しい家庭では野菜としてよく食べられる。最近北部では水草を使った料理が話題らしく、レストランでも提供している。

稲を愛する「水草の女神」

昔々、ある姉妹がいた。長女は真面目で、いつも家族の大事な財産である水田を熱心に世話していたため、父親が家督相続人に選んだ。一方次女は怠け者だったが、財産を継承したかったため、姉のことを妬んでいた。 ひどい凶作の１年となったとき長女が泣きながら祈ると、稲の神が現れた。「稲を救いたいなら最も大切なものを渡しなさい」と言われ、彼女は継承権を示すピアスと交換に、珍しい植物をもらった。それは水草で、稲の根にくっつけると元気に成長した。姉を羨んだ次女は姉をだまして部屋に閉じ込め、水田の管理権を奪ったが世話をせず、儲けたお金はすべて素行不良の彼氏に渡していた。その彼氏がお金を違法なことに使ったため、次女も巻き込まれて刑務所に連れて行かれた。解放された長女は、荒れた田の稲を蘇らせようと独りで一生懸命水草を植えた結果、過労で死んでしまった。彼女は「水草の女神」となり、豊作を招き、人々の生活も豊かになった。