ベトナムの今がよくわかる/ベトナムニュース解説10月号

2019年の最低賃金は5.3%引き上げで妥結

国家賃金審議会は、2018年8月13日(月)、2019年の地域別最低賃金について、平均5.3%の引き上げ案を政府に提出することで一致した。 月額で、第1地域:418万VND、第2地域:371万VND、第3地域:325万VND、第4地域:292万VNDとなる。 議長はこの数字を、「物価上昇分を補てんしつつ、労働者が貯蓄でき、企業も対応できるもの」と評価した。 (VnExpress 8月13日)
解説 「600万~750万VND」――これは、「ホーチミン市で1人が1ヶ月生活するのに最低必要な額は?」とベトナム人オフィスワーカー数名に尋ね、「貯金はできませんが」との注釈付きで出てきた数字です。 どんなに長く現地で生活していても、日本人にはベトナム人のリアルな金銭感覚はよくわからないもの。上記の数字は、家賃200万VND、食費300万VND、交通費50万~60万VND、その他150万VNDといった内訳のようです。ベトナム労働総連盟の最近の調査でも、最低支出水準は月650万VNDと出ているようですから、このくらいは最低必要ということでしょう。労働傷病兵社会福祉省のまとめでは、2017年の労働者の平均月給は660万VND(前年比9.3%増)、外資では670万VNDとなっています。 今回の最低賃金改定案の労使交渉では当初、労働者側が8%増、企業側は据え置きを主張しました。企業側は、近年の物価上昇や企業競争力の伸びを大きく超えて最低賃金が急激に引き上げられていると強く主張していましたが、その後の交渉で今回の水準に落ち着きました。

世界遺産の国立公園で 44の新しい洞窟を発見

フォンニャー・ケバン国立公園(Vuon Quoc Gia Phong Nha-Ke Bang)で、自然のまま残され、人が未だ足を踏み入れていない44の洞窟が見つかった。 詳しい調査により、これらの洞窟が6つの異なる地質層の中にあることも判明した。今回見つかったこれらの洞窟を加えると、これまでに同地域では、計405の洞窟が発見されたことになる。 (Nguoi Lao Dong 8月7日, P. 2)
解説 ベトナムにおけるユネスコの世界遺産は、【文化遺産】フエの建造物群、古都ホイアン、ミーソン聖域、タンロン皇城、胡朝の城塞、【自然遺産】ハロン湾、フォンニャー・ケバン国立公園、【複合遺産】チャンアンの景観のほか、雅楽や中央高原のゴング文化も無形文化遺産に認定されています。 ベトナムでは戦争の影響から特に中部の開発が遅く、自然科学調査なども遅れていると言われています。フォンニャー・ケバン国立公園内にある世界最大のソンドン洞窟が見つかったのも2009年のことで、今後調査が進めば、洞窟以外にもさまざまな新発見があるかもしれません。 ところで、ベトナム観光開発の近年の“トレンド”にロープウェー建設があります。ハロン湾、インドシナ最高峰ファンシーパン山、世界的関心が集まるビーチリゾート、フーコック島にも作られ、ソンドン洞窟エリアにも建設計画の話が……。 ロープウェーを整備すれば一般人にも親しみやすくなり、観光の売り物になるのでしょうが、あえて手付かずのまま残すことも、ベトナムが考えるべき選択肢ではないかと思います。