画家を目指してやってきたわけではない
絵も人生も、積み重ねた結果が今の形
いろんな縁が繋がって
ベトナムで絵を描いている
「エネルゲイア/Energeia」とは、アリストテレス哲学の用語で、可能性が具現化している状態を示す。2018年8月6日(月)まで、カフェ「ルージーンレタントン店」で行われている、山洋平さんの個展のタイトルの一部だ。
「可能性である種が行動として具現化している=成し遂げている、とする概念で、僕は絵を描く能力を種として持っていて描いている状態がエネルゲイアである、というか。僕の得意なことがたまたま絵だったんです」
子どもの頃から熱心に絵を描いてきたわけでも、美術を学んできたわけでもない。絵描きになりたいと思ったこともなかった。
「2009年にフランスのアルルに行ったとき、暇つぶしに道で絵を描いていて。その絵に道行く人から興味をもってもらえたんですよね」
それから真剣に絵を描くようになった。
「2011年頃からはフランスで生活していたんですが、場所に慣れて飽きてきちゃって。知らない土地のほうがワクワクするんです」
山さんが現在所属するヴィンギャラリー(Vin Gallery)は、ホーチミン市2区にある。2012年に東京の個展で出会ったオーナーのシュヴィン・スン(Shyevin S’ng)さんと、4年ほど前から一緒に仕事を始めた。2015年に個展開催で初めてホーチミン市を訪れ、雰囲気に惹かれ、2017年5月にベトナム・ホーチミン市へ移住した。
「いろんな出会い、運と縁があって、結果として今ベトナムで絵を描いている感じですね」
描きたいものを描き続けた
結果として完成形があるだけ
「オプアートを描いているわけではなくて、自分の望むままに描いていたらオプアートのような形になったんです」
山さんの作品がカテゴライズされるオプアート(Op Art)とは絵画作品のジャンルの1つで、騙し絵のように特殊な視覚的効果を与えるよう計算された絵画のことだ。
「この世界はとてもファンタジー。人は地球という星の上で生きていて、地球は太陽系の一部で、それは天の川銀河の一部で…。すごく不思議な世界のはずなのに、日常の仕事とかについ意識をもっていかれちゃう。それでも人はそれぞれの映画の主人公で、それぞれ異なる視点を持っているはず」
作品にはそんな考えが表現されている。
「これを描こう」と最終形態を目指して描くことはない。描き続けてキャンバスが埋まった結果として、完成画がある。
「人生も『こうしよう』と決定してきてなくて。なりたいものにはなれなかったし、なれる人なんて極僅か。でも、得意なことはあるはずで、みんながそれを発揮できたら世界のクオリティが上がると思う。僕も目標はないけれど、いけるとこまでいきたいとは思います」
作品は人生の時間をかけて生み出した、自分のかけらのようなものだと話す。
「僕が生きた証、みたいなもので。描いてないと意味がなくて、生活みたいな感じ」
終始落ち着いたトーンで話す山さん。自然体でいられるのは、今自分ができることを淡々と続けているからなのだろう。
山洋平 やまようへい
1977年埼玉県生まれ。2009年から日仏を行き来しながら、絵画作品を発表し、2011年にフランスへ移住。2017年5月、ホーチミン市へ。2018年8/6(月)までルージーンレタントン店にて「シーズンエネルゲイア/Season Energeia」を展示中。
ウェブサイト:http://yoheiyama.net