ベトナムの日本人/鈴木トミコさん/刺しゅうバッグデザイナー

ベトナムで作るオリジナルの刺しゅうバッグ 自分のデザインが形になるのが楽しい

あのときズボンが破れていなければ 今ベトナムにいないかもしれない 日本でグラフィックデザイナーをしていた鈴木トミコさんが、バックパッカーとしてタイ、マレーシア、シンガポールなどアジア各国を回りベトナムを訪れたのは、今から約20年前のことだ。 「ホーチミン市1区のデタム(De Tham)通りを歩いていたときにズボンが破けて、近くのお店で直してもらったんです。その店の主人が『うちで作った商品を日本で売っているフランス人がいる』という話をしてくれて。あ、自分もその方法でやろう!って思ったんです」 帰国後、百貨店や駅ビルでのイベントを経て、東京・恵比寿に雑貨店「ティルタガンガ」を構えた。主に販売したのはホーチミン市のアトリエで作ったアオザイたち。当時日本で起こっていたベトナム文化の流行りに乗り、繁盛した。 「でも、ベトナムブームも終わってしまって。次は何をやろうかなって考えたときに、べトナムには刺しゅうがあるから、それでバッグを作ろうと思ったんです」 日本で3年間、革職人に弟子入りしてバッグ製作を修行、2009年に拠点をベトナムに移した。こうして刺しゅうバッグブランド「パンガンダラン」が誕生する。 「バッグは製作工程が多く、自分がベトナムにいないと難しいので住むことにしたんです。ベトナムとの縁の全ての始まりはズボンが破れたこと。それがなかったら、今ここにいないと思いますね」 手間も時間もかかる刺しゅうバッグ それでも楽しいと思える瞬間がある 「1番好きなのは、やっぱりデザインするときですね。大変だし、ウンウン唸りながらやるんですけど(笑)」 「パンガンダラン」の店内に並ぶバッグやポーチの1つひとつについて説明する姿にも、愛情の深さが感じられる。 「このバッグはナイロンなのですごい軽いんですよ。麻やコットンなど生地や材料は、ベトナムで自分で調達しています」 まずは、生地をデザインと一緒に刺しゅう職人に渡し出来上がったら、自ら型通りに生地を切り、革と合わせて革職人へ。職人は手刺しゅう、ミシン刺しゅう、革の工程に各数人いるが、主力メンバーは開業時から変わらない。 1つのバッグが出来るのに、最短でも2ヶ月の時間を要するという。 「生地や革をデザインするのは自分でも、実際に出来上がったときにはまたイメージが変わるので、面白いんです」 刺しゅうバッグのデザインを始めた当初は、思い描いたものと異なる出来上がりになってしまうことがよくあった。 「この色にはこれ、この生地はこっちが良いとか、だいぶわかるようになりました」 人気シリーズ(写真内の鈴木さん所持)は2ヶ月ごとの製作サイクルで新デザインを加える。4月にはまた新しい絵柄や色のバッグが店頭に並ぶ予定だ。 「これからは、お土産向けの商品も増やしていけたらなと思ってます」
鈴木トミコ すずきとみこ 日本でグラフィックデザイナーとして勤務。1年間アジアを旅した後、東京でアジア衣料雑貨店をオープン。2009年に来越し、「パンガンダラン/pangan daran」を立ち上げた。現在はホーチミン市1区チャンフンダオ(Tran Hung Dao)通りに店を構える。 ウェブサイト:http://pangandaran.jp
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