ベトナムの日本人/桑原伸一郎/ベトナム水泳 ナショナルチームコーチ

頭を使えば、タイムを上げられる 鍛えるだけではない水泳スタイルをベトナムに

Japanese_002 強くなるために分析、研究 “頭を使う”、それが原点 「自分には選手としての才能が足りないから頭を使って勝負するしかないと思い、泳ぎ方の研究を始めました。高校生のときかな」 ビデオを見ながらフォームを模写して、世界のトップ選手と自分を比べた。 「研究すると、自分の記録の伸ばし方がわかってきて結果が伴うようになった。もともと能力がある人なら、もっとすごい結果に繋がる。そう思ったのが今の自分の原点です」 大学進学で、水泳コーチングの道に進もうと決意。アメリカ水泳コーチ連盟から名誉賞も与えられたジョンティ・スキナー(Jonty Skinner)氏が在籍したアラバマ大学で学ぶため、1993年アメリカに飛んだ。 5年学び、日本に帰国。母校の京都外大西高校や大阪府茨木市のスイミングクラブなどでコーチ経験を積み、2017年1月、ベトナムのナショナルコーチに就任した。 「茨木のときに知り合いを通してオファーを受けました。悩みましたが、最終的には『海外で指導者としてチャレンジしてみたい』という自分の気持ちに沿うことにしたんです」 水泳の新しい考え方を広めたい 自分の言葉で伝えるのを目標に まず直面したのが、言葉の問題だ。 「自分自身の言葉を使って伝えられないのが、とてももどかしいですね」 ベトナム語が話せない桑原さんは、指導をする際には、ベトナム人コーチに英語で伝え、彼らから選手たちに伝えてもらう。 「ただ、彼らもコーチなのでそれぞれの考え方がある。『疲れているようだから、練習量を減らして休もう』と自分は考えていても、『いや、たくさん泳いで追い込むべきだ』と、伝えてくれないこともあります」 今のベトナム水泳界では、強くなるために「体を鍛える」「とにかく泳ぐ」と、肉体強化一直線の色が強いそうだ。 「飛び込む角度が少し違うだけで、その後の推進力が変わる。分析することでも速く泳げるようになると教えてあげたいんです」 ベトナム水泳界に新しい考え方を広めたいと、フェイスブックを使って新しい取り組みも行っている。 「グループを作って、泳ぎ方を画像付きで説明しています。多くの選手やコーチに閲覧してもらって、ベトナム水泳全体として技術的な考え方を取り入れ、力をつけられたらいいなと思って。自分の勝手な考えですけど」 照れた様子で笑う桑原さんの想いに応えるように、その成果が現れ始めている。 2017年8月末、マレーシアで行われた第29回東南アジア競技大会(SEA Games 2017)の水泳競技で、指導するレ・ティ・ミー・ターオ(Le Thi My Thao)選手が銀メダル、ゴ・ディン・チュエン(Ngo Dinh Chuyen)選手が銀&銅メダルを獲得した。 「色々な経験をさせてもらっていると思います。帰れと言われてもまだ帰りたくないですね」と、目下の目標にベトナム語習得を掲げる桑原さんの挑戦はまだまだ続く。
桑原伸一郎 くわはらしんいちろう 京都府出身。高校卒業後、米国・アラバマ大学に5年間留学。その際には日本代表とアメリカ代表チームのスタッフも務めた。日本帰国後、母校やスイミングクラブでの18年間にわたる指導を経て、2016年9月に来越。2017年1月よりベトナムナショナルチームのコーチに就任。
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