ベトナムの日本人/榎本俊明さん/ラーメンエノ店主

店を支えてくれる熱狂的な“エノファン”とともに もっと温かく、息の長いラーメン店を目指して

[caption id="attachment_82499" align="alignnone" width="570"]ni hon jin ホーチミン市10区に店を構える「ラーメンエノ/Mi Eno」店主の榎本俊明さんは、「日本人経営のラーメン屋として世界一安く、おいしい店」を目指して2015年1月に開業。1杯3万VNDという破格の値段が若者を中心にインターネット上で話題を呼んだ。 初来越は2006年。カメラマンのアシスタントとして働いたが、独り立ちできずに終わり、その後は職を転々とする。30歳を過ぎた頃、人生の先輩と慕う人に「このままではホームレスになってしまうぞ。おまえの一番好きなことは何だ!」と叱咤され、真っ先に浮かんだのが「ラーメン二郎」だった。 「僕は火がつくまでが他人より遅い。周りに後押しされ、心の炎を燃やしてもらっています」 いったん日本に帰国し、ラーメン二郎歌舞伎町店でアルバイトに明け暮れた。「人に雇われるのが大の苦手」というが、「辛い修行の中でも、大好きな二郎で働ける喜びを噛み締める日々でした」。 その後、再び来越して開業。当初は1日10杯さえ売れない日があるなど、試行錯誤の毎日が続いた。フォーなどベトナム麺のスープは透明で薄味が多く、しょうゆや味噌を入れた濃いスープの見た目や塩加減がなかなか受け入れられない。また、ベトナムのメディアに誤って “UDON”と記載されることがあるコシが強い極太の麺は、評価が大きく分かれるという。 「10人中6人が、再来店をしない」のが実情だが、かつて榎本さんが二郎に魅せられたように、熱狂的な“エノファン”もじわじわと出現。ほぼ毎日来店しては黙々と食し、さっと帰っていくベトナム人学生がいる。 「彼が来ないと、そわそわして不安になっちゃって」と笑う。その口数少ない学生が、「いつもと味が違う」と小声で意見してくれることもあるそうだ。 「毎日通ってくれているからこその気づき。エノに対する深い愛情を感じられ、本当にありがたく思っています」 厨房で黙々と麺を茹でる榎本さんの姿は、まさに職人。味を管理する自分の持ち場を守り、接客はスタッフに任せているのかと思いきや、「今の店は自分の理想とはかけ離れてしまっています」と思わぬ答えが返ってきた。 「店作りに関してはど素人。力及ばず、お客様とのコミュニケーションができていない状態です」と肩を落とす。 今一番の願いは、「『おうっ! 元気にやってるの?』なんて、ごくごく普通の会話が飛び交う温かな店にすること」。店に集う学生が社会に出て家庭を築いても、10年20年と通い続けてもらうために、「何とかして現状を打破しなければ」という思いがある。 実は、店舗の賃貸契約満了にともない2017年5月をもって閉店を決意。「自分の考えを持ち、実直な仕事をしたい」と新たな挑戦を目論んでおり、再始動は半年後を予定している。 「いつの日か“ラーメン”ではなく、『ミーエノ』が好きと多くの人に言ってもらいたい。ベトナムで1番のラーメン店を目指し、自分らしく突き進んでいきたいです」
榎本俊明 えのもととしあき 東京都出身。2006年に来越し、休職中にベトナム語を学ぶ。帰国後「ラーメン二郎」でのアルバイトを経て、2015年1月に再来越。「ラーメンエノ」を開業した。ベトナム人と日本人のコミュニケーションの場として、日越交流教室を無料で開催。閉店後の今も継続している
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